SONY ICF-710
概要
ソニーICF-710は、AM/FM2バンドのやや大き目のポータブルラジオです。収納式のハンドルが付いておりますが、100Vを直接供給できるようになっており、持ち運び・据置の両方が想定されているようですが、乾電池は単3を使っており、持ち出して使うこともできますという感じです。
- 機能的には基本的なものに絞られており、特段の機能はありませんが、比較的本体が大きくスピーカーもしっかりしているので、音質・音量ともしっかりしており、広いスペースでの使用にも向いています。
- 手元にこの時期の資料がなく、正確な製造年が不明ですが、資料や内部の部品から、1982-84あたりと思われます。
- この時代、スライドボリュームが好まれたのかよく使用されています。ミキサーやイコライザーのように、たくさん並んでいるなら、見易いと思いますが、ボリューム単体の場合は微調整もやりにくく、さほどメリットはないように思います。このラジオのスライドボリュームは開放型で、華奢で抵抗体との接点が露出していることもあってか、正常に動作しないものがほとんどのようです。写真の個体も音量が絞れませんでした。
- ICラジオで、カタログには1チップIC使用となっていますが、トランジスタも使われれています。ICはCX20090という、大ぶりなICが使用されています。ICF-S30等この時代の2バンドラジオに広く使われています。トランジスタは2石で2SC945と2SA733ですが、これらはコンプリペアですので、この電圧で400mWを出すための電力増幅用と思われます。
仕様
- 発売:
- 1985年より以前 (昭和60年)
- 電源:
- 単3x4(6V), AC100V
- トランジスタ等:
- 1IC, 2TR
- 音声出力:
- 400mW*
- バーアンテナ:
- 80mm
- スピーカー:
- 92㎜*, 0.5W, 8Ω
- 操作部:
- 電源SW(OFF/BATT/AC)、ボリューム、チューニング、バンド切替スイッチ
- 表示等:
- 同調LED
- 受信周波数:
-
- AM:
- 535 - 1605 kHz
- FM:
- 76 - 108 MHz
- ターミナル:
- イヤホン
- シリーズ:
- -
- サイズ:
- W238mm x H128mm x D58mm
- 重量:
- 800g
- 色:
- シルバー
- 製造:
- 韓国製
- 価格:
- 円
メンテナンス
塗装が剥げ、一部欠損もあり大分くたびれた感じでした。機能的には、スライドボリュームが不調で爆音で鳴り、調整できませんでした。外観は、それほど目立たないので、そのままにして、スライドボリュームは清掃・導電グリスで対応としました。
裏蓋を外したところです。ビスを外せばスムーズに取れます。基板はコンパクトです。シャーシは左上のビスを外せば取れます。
外観は汚れはさほどありませんでしたが、内部は埃が多いです。
シャーシ部分です。基板とシャーシを分離するには、バンド切替スイッチ用近くのビスを外す必要があります。
基板の実装側です。ICはまだ初期のICもあってか、性能上のためなのか、大き目です。左下にあるのがスライドボリュームです。開放型です。
ハーアンテナはシャーシについていますが、躯体の割に小さいです。
ボリューム2つの導電帯がありますが、片方は抵抗ゼロの配線で、もう片方が抵抗体になっているようです。ハトメで止められた端子を外さないと、接点金具が取り出せない構造です。付けたままの清掃だけでは回復できず、くっつかないよう少量の導電グリスを2か所の導電帯に塗布して回復できました(とりあえずかも)。
スピーカーもほこりがひどいです。
ブラシ等で掃除しましたが、完全にはとれず、パンチングパネルの跡ものこっています。
電源スイッチの基板です。独立しています。センタータップトランスでダイオード2個で整流して、コンデンサーで平滑するだけのシンプルな回路です。もう一つダイオードが付いていますが、乾電池の逆接防止でしょうか。
つまみとバリコンはしっかりとして歯付ベルトで接続されており、バックラッシュ等の少ない、チューニング感が得られると思います。
カタログ情報等
製品のしおり
製品のしおり49 (1985), p75インドア・アウトドアを問わす自由に使えるホータブルタイプ。ワンチップ℃採用の高感度設計、AC/DC2電源、収納式ハントルつき
FM/AM2バンドボータブルラジオ
ICF-710 ¥7,800
- FM/AM2バンドで、FMはTV1~3ch.の音声も聴けるワイドバンド設計
- ホームユースとしても、アウトドアでも使える、便利なAC/DC2電源方式
- 取手収納タイプでコンパクトな省スペース設計
- ワンチップIC採用による高感度・高信頼度設計
- 同調点が一目でわかるLEDインジケーター
2023/5/27
No.177