SONY ICF-923

Serial No. -

概要

ソニーICF-923は、MW,FM,SW1-7の海外仕様の9バンドポータブルラジオです。ポータブルラジオとしてはコンパクトな部類です。メーターバンド毎にスケールを設けたマルチバンドラジオです。

SW7バンドで、ワールドバンドレシーバーを売りにしています。箱にもWORLD BAND RECEIVERと書かれて、裏面には、タイムゾーンマップが描かれています。ただ、特にSW向けに高感度・高性能に作られている訳ではなく、一般的なFM/AM2バンドラジオに、短波のバンドを付けた感じです。
7つの短波バンドですが、60mから15mまでカバーしています。日本ではラジオNIKKEIが使用していますが、世界的にはあまり一般的でない75mバンドと、22mバンドは外されています。
FMの周波数も88-108MHzとなっており、海外でのみ発売されたようです。外箱は英語とフランス語表記になっています。It's a Sony時代のロゴが付いていますので、1982年以降ということですが、詳細は情報がなく不明です。表面実装のICが使われており、1990年代の後半の製造ではと思います。このサイトをご覧になった方から、パッケージのデザインが1993年発売のICF-SW30に類似しており、1990年代の発売ではとのご意見も頂いています。
このラジオは日立のKH-300、ユピテルのMR-101、台湾SANGEAN社SG-796というラジオにそっくりだという情報を、サイトを見た方からいただきました。あまりポピュラーでないのか情報があまりありませんが、前2つはhttps://ameblo.jp/bcl-radio/entry-12272529076.htmlのサイトに写真があります。これらのラジオはシール等を除きほぼ同一で、KH-300もMR-101も台湾製のようです。SANGEANはラジオ専業メーカーのようですので、ここが供給先かもしれません。ICF-923もここに仲間入りみたいですが、生産国がマレーシアな点に疑問は残ります。本体を見ると、ICF-923の方が新しいような感じで、日立・ユピテルのラジオが販売が終了後、海外市場向けにソニーにOEMしたのかもしれません。
他3台のラジオについては、内部が確認できていません。このラジオは基板上の主要部品が省略・簡略されているようなところがあるため、他機種に比べてだいぶ手が抜かれているかもしれません。
インターネット上にあまり情報がありません。ベトナム語のサイトで、2,3例見かけました。パッケージにフランス語表記があることから、ベトナムあたりを中心とした東南アジアで販売されていたのかもしれません。
全般に造りがあまり良くありません。バンド切替SWも固く切り替えにくいですい、アンテナを収納する部分のストッパーの寸法がアンテナサイズと合っていません。内部についても、チューニングメカやスイッチ類が簡易なものになっており、廉価メーカー製のようなつくりです。
外箱にはFM STEREOとかかれていますが、ステレオにイヤフォンを差しても、片側しか聞こえません。使用されているICもモノラルFM用のようで、表記間違いではないかと思います。更にこの箱には、"NOT FOR SALE"のシールが貼られており、このセットは販売されたものではなかったようです。
CXA-1019Mを使った1チップICラジオです。このICは、この頃に開発されて、現在(2022)のAM/FMのエントリーモデルに仕様されている、一般的なラジオ用ICです。本来短波7バンドであれば、OSCコイルもその数だけありそうですが、このラジオはいくつかを兼用しているのか、4つしかありません。