SONY ICF-A12V

概要

時計のついたクロックラジオです。時代的にはデジタルもありますが、このラジオの時計はアナログ式です。見た目的には、ラジオというかただの時計に見えます。カタログのキャッチコピーに「都会感覚」という言葉がでてきますが、ポップ風のデザインで、趣味な方には受けそうです。ラジオ部分はAM/FMに加えて、TV1-12の音声が受信できます（現在はアナログTV放送終了により、使えなくなっています）。
このラジオは1993年(平成5年)には発売されていたようですが、販売開始ははっきりしません。
ソニーのラジオ時計には、xx-Cxxxといった型番が振られていましたが、このラジオはAが使われています。同時代のデジタルクロックラジオはCが使われているので、アナログのAなのでしょうか。
写真のものは全体が黒で、一部はねずみ色になっています。もう一色、全体がねずみ色で、一部白になっているカラーバリエーションがあります。同時期にTV4-12chが付いていない、ふつうのAM/FMタイプで若干小型のICF-A7も発売されていました。
時計はアナログのクオーツで、一般的な時計用のムーブメントが流用して、電池ボックスや、アラーム動作の部分を付け足しています。ムーブメントにはTOCHIGI TOKEIの刻印があります。セイコー向けにクオーツムーブメントを製造していた会社のようです。
アラームは、ラジオとメロディーがスイッチで選択できます。メロディーは映画「スティング」のテーマ曲（ジ・エンターテイナー）の電子音です。
FM/TVの受信に必要なアンテナですが、写真にありますようなリードアンテナを取り付けられる端子が付いています。コンパクトでしっかりした構造です。
電池は単3が3本になっていますが、2本はラジオ用、1本は時計専用の電池になっています。ラジオをつけっぱなしにして電池がなくなっても、時計は動作します。ただし、アラームのメロディも時計側の電池で駆動されているため、ラジオアラームも含めて目覚まし機能が使えなくなります。DC 3Vで使えるようになっていますが、時計部分の電源は別のため、ラジオ・アラーム専用となりますが、統計はクオーツで1年持ちますので、実用上は問題ないと思います。
60分のスリープタイマー、パネルのライトなどいろんな機能があることもあり、操作部がたくさんあり、通好みな感じです。アラームのセットは、文字盤の外枠を回して合わせます。
ICが4つと、結構たくさん使われています。
- CXA1019M: ソニーのAM/FMラジオ用のICで、1チップに高周波から音声増幅までの半導体を内蔵しています。
- TA7358P:　東芝のFMフロントエンド用のICのようです。TVの4-12Chに使用されているようです。
- BU2305　ROHMのタイマー用ICです。スリープ機能に使用されていると思われます。
- DIP-8のIC: あと型番がよく読めないですが78xxxとありますので、電源用のICかもしれません。

仕様

発売:

1989 年以前

ニックネーム:

アーサTV, 朝のa～saシリーズ

電源:

単3 x 3 (2本はラジオ用、1本は時計用)

トランジスタ等:

4 IC

バーアンテナ:

約60mm

操作部:

電源SW、バンド切り替えSW、スリープSW、アラームセレクターSW、アラームSW、ライトSW、ボリューム、チューニング、時刻合わせつまみ、アラームセットリング

表示等:

チューニングLED

受信周波数:

AM:: 530 - 1605 kHz
FM:: 76-108 MHz (アナログTV 1-3ch)
TV:: 4-12 ch

ターミナル:

DV 3V, FMアンテナ端子

サイズ:

W112mm x H119.5mm x D84mm (カタログ値)

重量:

480g（カタログ値、電池含む）

付属品:

FMリードアンテナ、乾電池

電池持続時間:

ラジオ・アラーム部:25時間、クロック部:1年

色:

黒/樹/ねずみ

製造:

ソニー、日本製

価格:

7,800円 (税別)

メンテナンス

電池ボックスに液漏れがあるものの、時計、ラジオとも動作は問題ありませんでした。ただ、秒針が外れてしまっていました。前のカバーが外れると良いのですが、後ろから順に外していかないとアクセスできないみたいでした。

前側のカバーが簡単に外れるといいのですが、そういう構造ではなさそうでしたので、裏蓋から外していきます。
時計の時刻セット用のつまみは奥を覗くとマイナスドライバーが入るようなスリットが見えたのでねじ止めかと思いましたが、なかなか外れず、引っ張って取り外すものでした。
スリットはテンションを付けるのにつけられているみたいです。時刻調整用のつまみを外し、ビスを2本外すと裏蓋は取れます。

基板を外すとさらに4本のねじがありますので、これを外すと全体がバラバラになります。
基板を外すときは、についているボリュームつまみの下に基盤を抑えている爪がありますので、２つのつまみも取り外す必要があります。写真の通り、分解すると時計部分は独立して取り出せます。

前面のパネルはアラームセットつまみを兼ねています。時計部分を分離すると、前面パネルを固定しているツメにアクセスできますので、これを押し曲げると前面パネルが外れます。前面パネルを回してアラームをセットしますが、このパネルは、黄色の文字盤の前面にある透明の板と一体に動き、この当面板がアラームセット時刻の設定つまみとなっています。文字盤5時の手前に切り欠きがありますが、ここに前面パネルとでっぱりが入り込み一体化される構造になっています。

アナログクオーツ時計のムーブメントです。単三電池を入れるボックスが見えており、汎用のクオーツ時計のユニットを流用したもののようです。TOCHIGI TOKEIとの表記がありますが、もともとセイコーのムーブメントを製造していた会社で、現在はセイコープレシジョンに引き継がれているようです。

通常のラジオは前面、基板、裏蓋の３枚ですが、このラジオは、裏蓋、基板、チューニングユニット、クオーツ時計ユニット、前面パネル、文字盤パネル...と、相当複雑な構造です。クオーツ時計は水晶発振ということで（雑音）がでるためか、このユニットは厳重にシールドされています。

時計ユニットの雑音対策なのか、ラジオ機能をつかさどるICもしっかりとシールドが施されています。

修理の過程で、電池負極端子のコードがはんだ部から切れてしまいました（見えにくいですが、写真の基板右下のあたりの電技ボックス側です）。液漏れで腐食していたようです。この部分のコードを取り替えて、修理完了して無事、組み上がりました。

カタログ情報など

商品のしおり

TV4-12chも聴ける、都会感覚の3バンドラジオクロック＜アーサTV＞
朝の(a～sa) RADIO & CLOCL
ラジオ部はTV(1～12ch)/FM/AMの3バンド
アラームはメロディ／ラジオの2ウェイ。メロディはスティングの「ジ・エンターテイナー」
約60分後に電源が切れるスリープタイマーつき
クロックパネルライト
外部電源端子付き
電源:乾電池（ラジオ部；単3x2、時計部:単3x1）、電灯線（ラジオ部のみ、別売AC-D2M使用）
大きさ:幅112x高さ119.5x奥行84mm
重さ:480g(電池含む）
電池持続時間:SUM-3(NS)使用時、約25時間（ラジオ/アラーム部）、約一年間（時計部）

2017/04/17