SONY ICF-S77V

Serial No.13804

概要

ICF-S77Vは、VHF/FM/AMの3バンドポータブルラジオです。お風呂での使用を想定しており、防水性能はJIS防沫型になっています。これは、防災ラジオやヘビーデューティーなラジオに採用されていた、JIS防滴II型（保護等級2、鉛直15°以内の滴下水）よりも2ランク高いです(保護等級4、上下全方向からの飛沫から保護される）。
よく似たラジオでICF-S75Vというのがあります。このICF-S77Vは、型番的は大きいですが、時代的にはこちらのほうが古いです。同時期に、VHF(High)無しで、防水性を防滴II型まで落としたICF-S78も販売されています。
ICF-B50等では、電池ボックスは防水されておらず、使用後にふき取るという考えみたいですが、このラジオは、電池ボックス、つまみ類すべてシールされています。ボタンはゴム製の電子スイッチを使用していますし、水侵入の対応が難しいジャック類は、省略されています。スピーカーのコーンは紙ではなく、透明の樹脂が使用されています。
お風呂での使用のため、いろいろ工夫されています。つまみ類はゴムの滑り止めが取り付けられています。斜めに立てられるスタンドの他、吊り下げ用のストラップも付いており、ビスで壁に固定できるようにもなっています。
15,30,45,60分のタイマー機能がありますというか、常時スイッチONという機能がありません。お風呂での使用ということで長時間は使わないという前提かもしれません。タイマーICを使って電源を制御していますので、そちらの都合かもしれません。
液晶デジタルクオーツ時計を内蔵しています。初めてこの種の時計が内蔵されたICF-3000は、1974年の発売ですが、5万円というぶっ飛びプライスでした、凡そ10年でおまけ的に入れられるまで価格がこなれたようです。
メインの基板、ボリューム・バンドセレクター基板、操作・タイマー関係の基板の3枚の基板があります。バリコンは2個ついており、1本のウォームギアを介して同じように回しています。VHF(H)用のバリコンは別立てのようです。トリマーとコンデンサーを外付けすれば、FMと兼用できそうな気もするのですが、この時代はトリマー付きのポリバリコンが標準のためでしょうか。
ICは2個、トランジスターは見落としあるかもしれませんが、14個使われています。ラジオ用ICは現在(2022)も使われている、CXA-1019Mが使われています。FM/AM用のワンチップICですが、旧アナログテレビ放送のVHF(4chの音声は175.75MHz、12chの音声は221.75MHz)までカバーしているようです。VHFでの使用対応のためか、トランジスタもいくつか併用されています(2SC1674 x 2, 2SC1657 x 2, 3SC945 x 1)。
もう一つのIC、TC9160Pは、東芝のタイマーICの用です。電子機器のスリープ用に開発されたもので、60分（外部CRで可変)Maxで、15分刻みに設定ができます。ラジオの表示に使われているような途中経過の出力もあります。LEDのドライブにトランジスタが必要で、この部分で6石(2SA733 x 5, 2SA932 x 1)が使われています。

仕様

発売:

1987年 (昭和62年)

電源:

ラジオ用 - 単2x3 (4.5V), 時計用 - 単3x1 (1.5V)

トランジスタ等:

2IC, 14TR

音声出力*:

180 mW

バーアンテナ:

L=80mm

スピーカー*:

92mm, 8Ω, 1W

操作部:

タイマースイッチ、電源OFFスイッチ、バンド切替スイッチ、チューニング、ボリューム、時計調整（送り/戻し）

表示等:

時刻表示（液晶）、タイマー残り時間(LED)

受信周波数:

AM:: 535 - 1605 kHz
FM(VHF-L):: 76 - 108 MHz (VHF 1-3 CH)
VHF:: 4 - 12 CH

ターミナル:

なし

シリーズ・ニックネーム:

シャワーメイト

サイズ:

Wmm x Hmm x Dmm

重量:

920g

色:

白

製造:

台湾製

価格*:

10,600円

メンテナンス

ラジオの受信は問題なしです。元は白だったようですが、経年劣化でアイボリーというか、黄色に近い色になっています。また、つまみのゴムの部分が劣化してなんかねっとりしています。全体の清掃と、内部の確認のみです。本体の色は、深い部分まで変色しているようで、元の色にするのは困難のようです。

裏蓋を外したところです。パッキンがありますが、爪の類はありません。防水性のためか、ネジは6本と多いです。ダブルバリコンに目が行ってしまいます。IC以外の部品は基本こちら側に実装されています。ICのみパターン面に取り付けられています。

側面のつまみを引っこ抜けてはずれば、シャーシは簡単はずれますが、接続ケーブル類が制約になり、すぽっと外れません。スイッチ関係の基板と、スピーカーは前面パネルにビスで固定されていますので、これを外せばいいと思いますが、スピーカーの取り付け部から水が入らないよう、しっかりと接着されている感じで、スピーカーを外すのはやめました。

スイッチ・タイマー関連の基板です。ラジオ用のタイマーに特化したICのようで、データシート通りの使い方になっているようです。

バンド切替、ボリューム類は別基板として、つまみ・ボタン近くに設置されています。

バリコンを駆動するウォームギアです。

防水対策で、裏蓋を止めるビスにパッキンが使われています。

つまみのゴムがかなりぼろぼろですが、代わりの良いアイデアがなく、とりあえずそのままです。

カタログ情報等

ソニー製品のしおり

ソニー製品のしおり 65 (1990), p95
4通りの選択ができるパワーオートオフ機構付き。お風呂場に設置して、TV(1～12ch)FM/AMが楽しめる防水仕様の統計付き<バスルームラジオ>
TV(1～12ch)FM/AMデジタルクロックラジオ
ICF-S77V ￥10,600(税別)

風呂場に置いて楽しめる、水しぶきにも強い防水仕様(防沫型）
TV(1～12ch)FM/AMの3バンド
15分、30分、45分、60分の4通りの選択ができるパワーオートオフ機構
壁掛け、吊り下げ、立て掛けの取り付けが可能
LEDタイマーインジケーター付き
9.2cmの防水型ダイナミックスピーカー

本体の右肩には、大きな字で「SHOWER MATE」と愛称が書かれていますが、カタログにはバスルームラジオと書かれているものの、愛称の記載がありません。

2022/08/08