SONY ICR-3000

Serial No.20383

概要

ソニーICR-3000は、AMとNSB1(現在のラジオNIKKEI第1放送)を聴取できる、コンパクトなポータブルラジオです。登山時に気象情報を聴く人を想定した設計になっており、「山ラジオ」と呼ばれていました。防滴設計で衝撃にも強い造りになっています。

山登りに際して天気は大変重要で、命にもかかわることから、当時は、登山される方には、現地で、気象情報を元に自分で天気図を作成して登山計画に活用していたようです。現在ではネットで山の天気も知ることができるかもしれませんが、山の天気は急変しやすいこともあり、どこでも聴けるラジオは現在でも登山時の情報源として活用されている方もみえるようです。
NHKはラジオ第2放送は、「気象通報」というプログラムを現在も放送しています。毎日16時から20分間で、放送内容は最近は自動読み上げだそうです。専用の用紙があり、風向、風力、気圧、基本等の放送内容を書き込んでいくことで、天気図を作成することができるようになっています(練習と慣れが必要なようです)。
当時のNSBの第一プログラムでは、通常の気象情報の他、山岳高層気象通報という、高い場所の気象情報を放送しており、このラジオをそれを受信することができました。、残念ながら、この放送は2001年に終了してしてしまったようです。
箱にも山の風景が印刷されており、登山雑誌に広告を掲載していたようです。当時も人気があったようで、5年ほどは販売されています。高層気象通報は無くなりましたが、その後も山ラジオは形を変えて(登山プリセットされる)販売されていましたが、ICF-R354が2010年代の後半に販売終了してしまったようです。
気圧の単位、mb, ミリバールのニックネームが付けられています。単位のSI化に伴い、現在は、hPa(ヘクトパスカル)になっています。
リブの入ったキャビネットや、凹んだスピーカーグリルは、機械的な強度をのためのようです。耐荷重は100kg(1min), 30kg(24hr)となっています。JIS防滴II型(斜め15度からの水滴下に対応) に対応しており、防塵性能もあります。
色目は異なりますが、大体同じころ発売されていた、スポーツシリーズのICF-S73と、前面のキャビネットの形状は同じようです。
電源スイッチとバンド切替スイッチは共通になっています。NSBの第1プログラムは3波ありますので、MWと合わせて、5接点の回転式のスイッチが採用されています。防滴設計のため、シールしやすい回転式のスイッチの採用の上、スイッチ数を減らすために、共用にされているようです。
ダイヤルと合わせてラジオの前面を照らせる電球が付いています。当時LEDはありましたが(このラジオにもバンド表示や、チューニングに使われていますが)、それほど高輝度なものはなかったためか、電球が使われています。電球ですので、消費電力は大きいです。ラジオ受信は10mA程度ですが、ライトをつけると+40mA程必要になります。
ICF-3000は似た型番ですが、当時出始めのクオーツ時計を内蔵したポータブルラジオで、別物です。
NSB1は3つのクリスタルを用いた一発選局です。それぞれに、受信波同調用のトリマーもついています。本体に書かれている型番(438NKD79, 651NDK79, 100NDK79)の最初の数字周波数を表しているようです(4.380 kHz, 6510 kHz, 最後は一桁足りませんが、10050kH)。中間周波巣は455kHzになります。
短波ラジオですが内蔵バーアンテナでの受信で、ロッドアンテナはありません。MWとフェライトコアは兼用で、短波用にゆったりとしたコイルが取り付けられています。
ICはSONY製ですが、型番は黒塗りされていてよくわかりません。CXA-10??あたりまでぼんやり読めます。ICはワンチップと思われますが、LEDのドライブ等に、表面実装タイプのトランジスタが使用されいます。番号はQ6まで確認できます。

仕様

発売:

1987年 (昭和62年)

電源:

単3x2, 3V

トランジスタ等:

1 IC, 6 TR?

音声出力:

100mW

バーアンテナ:

100mm

スピーカー:

66mm*2, 8Ω、0.5W

操作部:

電源・バンド切替SW、ボリューム、チューニング

表示等:

チューニングLED、バンド表示LED

受信周波数:

AM:: 535 - 1700 kHz
NSB1:: 3.925 6.055 9.595 MHz

ターミナル:

イヤホン

シリーズ:

mb (ミリバール)

サイズ:

W120 x H88 x D27mm

重量:

179g

色:

黒

製造:

日本製

価格:

9,400円 (税別)

*1　本体記載　　*2　商品のしおり

メンテナンス

ラジオは受信しｍすが、目盛りのずれが大きく、594kHzのNHKが700kHzより大きいところで聞こえます。また、ダイヤルライトのスイッチの接触が悪く、照度がゆらゆらし、ラジオにも雑音が入ります。

外観はスピーカーグリルの剥げや、目盛部の割れがありますが、登山に長く使わればこんなものかという気もするので、そのままにしました。あと、本体を振ると、かたかたと音がします。

電池もかたかたなりますので、スポンジは貼り換えました。防滴・防塵のためか、ビス止めは8か所もあります。1か所ビス受けが破損しているようで、ビスを回しても空回り状態でした。

裏蓋をはずしたところです。基板のパターン側が見えます。主要部品は表面実装されています。比較的初期の表面実装だと思います。ラジオ用ICは型番が黒く塗られていて読めません。耐衝撃性を上げるためか、バーアンテナが専用のケースに入っています。

キャビネット前面と基板はビス1か所で固定されています。大型部品はこちらに実装されています。ケミコンの他、IFT、セラミックフィルター、OSCコイルやクリスタルが見えます。5接点のロータリースイッチが目を引きます。

受け側が割れていました。エポキシ接着剤で補修しました。

目盛りが大分すれているので調整しました。局発のコイルは調整しろいっぱいまで調整しました。

バリコンのトリマーはパターン側からアクセスします。下側がOSC用です。

LIGHTボタンは分解は難しそうでしたので、接点用スプレーの吹き込み・ふき取りで一応使える状態になりました。掃除して組み直しましたが、なんかまだカタカタなります。

バーアンテナとケースは接着剤で固定されていた物が剥げたようで、バーアンテナもカタカタなっていました。軟質の接着剤で固定しました。

カタログ情報等

製品のしおり

製品のしおり66 (1990), p96

山岳気象情報を受信するNSBl/MWの2バンド。耐ショック・耐寒設計も採用したヘビーデューティ仕様。登山者必携の山ラジオ<ミリバール>>;
NSB1/MWハンディポータブルラジオ
ICR-3000　　　標準価格9,400円(税別)
主な付属品:イヤホン、乾電池、ハンドストラップ

ラシオたんばの山岳高層気象通報をはじめ、登山に必要な気象通報をキャッチするNSBl/MWの2バンド設計
ショックに強い新素材工ラストマー樹脂を採用したへビーテューティ仕様
静止状態で100kg/1分問、30kg/24時間の耐荷重性重視設計
雨や雪に強いJIS防滴Ⅱ型、耐寒(‐20℃)設計
暗闇で地図か読めるスホットライト兼用ダイヤル照明

電池持続時間:SUMー3()使用時、約35時間
電源:乾電池(単3x2)3V
出力:100mW(ElAJ/DC)
重さ:228(乾電池含む)
大きさ:幅121x高さ89X奥行27mm

2024/08/04

No.220