SONY ICR-502

Serial No. -

概要

ソニーICR-502はAM専用の薄型カードラジオです。1987年にSONY初のカードサイズのAMラジオICR-501が発売されていますが、このラジオは、その翌年に発売された後継で、第2段になります。

ボタン電池駆動でイヤフォン専用です。リチウム電池で十分実用になるように、省電力ICを使用して、連続使用時間は200時間となっています。この前のシリーズより、B.S.ICのコピーが使われていましたが、Battery Save ICの略のようです。
ICR-501からさほど時間を経ずに発売されていますが、狙いは価格ダウンだったと思います。標準価格ベースで6000円から3800円と、2/3以下に設定されています。コストダウンのためか、オートオフの機能の省略されて機械的なスイッチになっています。コストダウンにつながるのか分かりませんが、厚みが1㎜アップしています。
内部は特別に薄くあつらえた、バリコンやコイルが使われています。ICはかなり付帯部品が少なくなっています。基板は非常に薄いものが使われ、部品はすべて表面実装で配線も実装側のみ、裏側はGNDを兼ねた金属の薄板に固定され、強度を保っています。
色は4色のあります。色により、デザインも異なっています。表面と裏面は同じデザインが使われています。
ICはCXA1032Mという型番のものが使用されています。前モデルのICR-501使われてる、Battery Save ICという宣伝文句でアピールされているICと同じものと思われます。一般的なスーパーヘテロダインとは異なり、基板上にOSCコイルはありますが、中間周波を切り出すIFTやセラミックフィルターが見当たりません。
ICのブロックフローを見ると、アンテナからの信号をRF増幅し、局発波と合わせたあとNICというブロックを通り、更に増幅をかけて検波となっています。略語については説明がありませんが、NICはNegative Impedance Conveterを指していると思われます。NICはマイナスの抵抗値を持つユニットで、回路上で抵抗をキャンセルするように働きます。オペアンプ等で構成することができ、これを応用したアクティブフィルターは、自由度の高いフィルタリングができるそうです。

仕様

発売:

1987年 (昭和62年)

電源:

CR2032H (3V)

トランジスタ等:

1 IC*

音声出力:

1 mW*

バーアンテナ:

45 mm

スピーカー:

- (外付イヤホン専用)

操作部:

電源SW、ボリューム、チューニング

表示等:

受信周波数:

AM:: 530 - 1605 kHz

ターミナル:

イヤフォン(2.5mmφ)

シリーズ:

SHEET

サイズ:

W86mm x H55mm x D5mm

重量:

31 g

色:

ブラック、グレー、レッド、シルバー

製造:

価格:

3,800円

メンテナンス

動作問題ありませんでしたが、内部確認しました。

パネルは両面テープで接着されています。裏側のパネルはボリュームの部分に接着面が見える部分がありますので、この部分から樹脂製のへらなどを差し込んで剥がしていくと外れます。必要十分な接着のため、専用のテープが使われています。

パネルを外すと見える金属板は、基板と一体化しており、ビスを外すと取れます。バーアンテナは、基板側に付いており、真ん中付近を両面テープで固定されていますので、基板はここを剥がしながら外す必要があります。

本体の前面側です。本体がイヤホンジャックの一部を兼ねています。また、ボダン電池のイジェクト機構、電源スイッチのつまみが組み込まれています。OSCと思しきコイルが一つありますが、IFTやセラミックフィルターが見当たりません。

ビスは同じもののようですが、タップビスなので、できれば元あった場所に戻した方がいいと思い、取り外し場所が分かるようにしておきました。

専用の両面テープは、上部スイッチの部分は切り欠きになっているなど、細かいつくりになっています。

カタログ情報等

ソニー製品のしおり

ソニー製品のしおり57 (1987), p88
手軽に良い音で楽しめる"200時間ラジオ"。薄さ4.9mmのAM専用カードサイズラジオ<シート>
AMカードサイズラジオ
ICR-502(B)(G)(R)(S) ¥3,800

薄さ4.9mmのクレジットカードサイズ
新開発バッテリーセーブB,S,IC搭載の省電力設計
リチウム電池1個で約200時間の超電池持続時間。電池交換は約3か月に一度でOK
音の良いイヤーレシーバー「ヌード」付属(φ2.5mm超ミニプラグ)

当時のリチウム電池は高価であったこともあり、省電力を売りにしています。電池の交換頻度は、使用頻度が異なりますので、一人よりそれぞれだと思うのですが、通勤往復で一日2時間程度の使用という前提のようです。

2022/11/08