SONY ICR-B10
概要
- AM専用の非常用のポケットラジオです。QQ(救急)の名称で防災ラジオは、ICR-B3が1981年に発売されてますが、これはTFM-777の流れを汲むようなヘビーデューティーなラジオでした。ICR-B10は、1984年の同じQQラジオとして販売されましたが、普通のポケットラジオです。デザインは異なりますが、基本的には当時の一般的なポケットラジオのでICR-B10と同じものになります。
- この防災ラジオとしてのセールスポイントは2点あります。一つは、電源にリチウム電池（二酸化マンガンリチウム電池：一次電池）を採用しています。この電池は自己放電が少なく重量あたりの容量も大きい電池で、いざというときに確実に使えて長持ちします。もう一つは、ケースです。1988年頃にこのラジオはケースが変更になっていますが、いずれも、緊急用としての役割を果たせるよう、工夫されています。
- 発売当初は、プラスチックの保管ケースが使われていました。このケースは、ショックアブソーバとして、硬質スポンジが貼り付けられており、ケース本体開口部にエラストマーのパッキンを使った防滴仕様となっています。
- 1988年年ごろにケース仕様が変更され、缶詰となりました。緊急時にプルトップを開けて取り出すというもので、電池の保管時間の長さを売りにしたかったのかもしれません。缶詰は緊急時以外は底面から開けられるようになっており、動作確認や、懐中電灯や予備電池等を入れられるようになっています。底面の蓋もスポンジ状のパッキンがついており防滴仕様となっています。
- 中身はおおむねICR-S10と同じで、ICはCX-845という型番のものが使われています。省略された電解コンデンサーがありますので、オプションだったのかもしれません。唯一中身で異なるのは、裏蓋側にもバーアンテナ保護のためのクッションがついているところぐらいのようですが、ICR-S10も同時期のものには取り付けられていたのかもしれません。
仕様
- 発売：
- 1984年頃（防滴ケース入り） 1988年頃(缶入り）
- 電源：
- 単3 x 2
- トランジスタ等：
- 1 IC
- バーアンテナ：
- 約100mm
- 操作部：
- 電源SW付ボリューム、チューニング
- 表示等：
- 同調LED
- 受信周波数：
-
- AM:
- 530 - 1605 kHz
- ターミナル：
- イヤホン
- サイズ：
- W73mm x H115mm x D36mm
- 重量：
- 188g（本体のみ）、240g（リチウム電池用スペーサー含む））
- 色：
- 赤
- 製造：
- 日本製
- 価格：
- 5000円
- ニックネーム：
- 災害時に役立つラジオ<QQ>
メンテナンス
ほぼ新品、ぴかぴかです。内部の確認のみです。
ICR-S10と中身は同じです。ほとんど使われていないようで、綺麗です。
基板パーツ面です。IFTの右側の電解コンデンサーが一つ省略されているようです。
裏蓋のこの部分はバーアンテナのコイル側の端に当たる部分ですが、クッションがついてます。
防滴ケースの外観です。「常備用ラジオ」と大きく目立つ白で表記されています。
ラジオの保護のために、内側にクッションがつけられています。また、ケースの接合部は、ゴム状のパッキンが入っており、水の侵入を防ぎます。
写真では上側の面に出っ張りがありますが、これがラジオ本体の裏面のねじ用のくぼみにはまり、本体を固定する仕組みになっています。
写真では上側の面に出っ張りがありますが、これがラジオ本体の裏面のねじ用のくぼみにはまり、本体を固定する仕組みになっています。
電池カバーのウレタンスポンジは交換しました。
その他情報
缶入りの後期のものです。缶は未開封なのですが、底部の裏蓋が開かず、中に何が入っているか確認できませんでした。
缶の上面はプルトップになっていて、緊急時に開けられるようになています。後ろからも開けられるので、意味があるのかという気もしますが。
箱です。
缶の底面です。プラスチックの蓋がついており、回転させて開けることができますが、回すことができませんでした。
よく見ると接着材で止めた後のようなものがみられましたので、やむなく、無理やりこじ開けました。心配性の人がボンドでくっつけたようです。中身は未使用で、電池も入ったままでした。
写真真ん中の電池がCR12600SEと呼ばれるリチウム電池が使われています。単三電池よりも少し長く、細い電池です。ふつうの単3x2のスペースに入れられるよう、金属製のスペーサーと紙カバーのようなものが付属しています。この電池は現在は組み込み電池としてしか使用されておらず、ふつうには売られていないようです。
右のスペーサーはこの特殊な電池を単三2本のスペースに収めるためのものですが、中身まで詰まった金属の塊で、このラジオをうんと重くしています。
右のスペーサーはこの特殊な電池を単三2本のスペースに収めるためのものですが、中身まで詰まった金属の塊で、このラジオをうんと重くしています。
付属のリチウム電池ですが、まだ3.4Vほどの起電力を保っており、容量が保たれているようです。ふつうに使えました。
カタログ情報
プラケース、製品のしおり
長期保存できるリチウム電池採用。雨や水から本体を保護する防滴ケース付き。感度も良好なAMポケッタブル。災害時に役立つ救急ラジオ<QQ>
AM専用ポケッタブルラジオ
ICR-B10 5,000円
主な付属品：防滴ケース、リチウム電池、電池アダプター、ショルダーストラップ、イヤホン
- 容量劣化が少なく、長期保存に適したリチウム電池を採用して、約10年間の安心保存が可能。普段は、単三型乾電池の使用も可能。
- 雨や水回りでも安心して持ち歩ける防滴ケース付属。ショルダーストラップ付。
- ワンチップIC採用の高感度設計。
- 電源：乾電池(リチウム電池1個)または(単3型2個) 3V
- 大きさ：幅119.5×高さ75×奥行26.5mm
- 重さ：280g（乾電池含む）
- 電池持続時間：リチウム電池使用時約45時間、SUM-3(NS)使用時約30時間
缶ケース、製品のしおり
長期保存できるリチウム電池採用。雨や水から本体を保護する防滴缶付き。感度も良好なAMポケッタブル。災害時に役立つ救急ラジオ<QQ>
AM専用ラジオ
ICR-B10 標準価格5,000円（税別）
主な付属品：防滴缶、リチウム電池、電池アダプター、イヤホン
- リチウム電池の採用で約10年間の保存が可能。単3型乾電池の使用も可能。
- マッチなどの防災用品が入る防滴缶。
- ワンチップIC採用の高感度設計。
- 電源：乾電池(リチウム電池1個、または単3型2個) 3V
- 大きさ：幅119.5×高さ75×奥行26.5mm
- 重さ：280g（乾電池含む）
- 電池持続時間：リチウム電池使用時約45時間、SUM-3(NS)使用時約30時間
- ＊リチウム電池は特別仕様ですので、市販されていません。サービスステーションでお求めください。
2019/01/14
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