SONY ICR-N5
概要
- 日本短波放送(NSB)、現在のラジオNIKKEIの受信に特化した、IC・トランジスタ式のポータブルラジオです。小さいですが、100V電源がアダプターなしで使用可能となっており、据え置き使用も前提にしているようです。
- 前モデルと思われるICR-N3にはあった中波の受信機能は削除され、NSB-6チャンネルに特化しています。第一放送、第二放送それぞれ３つの周波数から最適なものを自動で選択します。また、マニュアルでどれかを選択することもできます。
- 開局35周年記念ラジオの帯がついています。NSBの開局は1954年ですので、このラジオの発売は1989年ということになります。また、デジタルの時計およびタイマーがついています。タイマーは時刻式で設定した時間がくると、ON時はOFF, OFF時はONになるようです。
- 短波ラジオですが、ロッドアンテナはありません。短波用のバーアンテナで受信するようになっています。1950年代のラジオには、ロッドアンテナやケーブル式のアンテナがあっても、中波短波兼用のバーアンテナとなっているものも多くありましたが、FMが標準装備されるようになり外部アンテナが必須となったためか、短波バーアンテナは見かけなくなったように思います。
このラジオにFM無しで、ロッドアンテナ必須ではないためバーアンテナ対応としたみたいですが、外部アンテナも接続することができます。 - 中身はなかなかゴージャスです。ぱっと見ラジオ部分だけでICが3個、トランジスタ12個が使用されています。ICのひとつはCXA1019ですが、これはAM/FMの両回路と低周波増幅まで含んでいますので、FM部分は使用していないようです。後はオペアンプLM358Dと良く分からない４本足のICです。これとは別に時計・液晶表示の部分にいろいろと使用されてそうですが、雑音防止のためシールドが半田付けされているため、確認できませんでした。
仕様
- 発売：
- 1989年
- 電源：
- 単3 x 4
- トランジスタ等：
- 3 IC, 12 TR （ラジオ基盤部分のみ）
- バーアンテナ：
- 160mm
- 操作部：
- 電源スイッチ、バンド切替（NSB1, NSB2)、スライドボリューム、マニュアルチャンネル切替、時計セット、予約セット、時刻調整、タイマー
- 表示等：
- なし
- 受信周波数：
-
- NSB1:
- 3925、6055、9595 kHz
- NSB2:
- 3945、6155、9760 kHz
- ターミナル：
- 外部アンテナ、録音、イヤホン、リモコン、AC100V
- サイズ：
- W195mm x H125mm x D50mm
- 重量：
- 630g
- 色：
- 黒
- 製造：
- 日本製
- 価格：
- 円
メンテナンス
稼動品でしたが、スイッチ周りで割れ・欠けがあり、さらに裏蓋を留めるネジが全部なくなっており、裏蓋が止まってない状態でした。ビスというかタップネジは、ホームセンターで似たものを購入してきました。
裏蓋を開けたところです。外観は綺麗でしたがスピーカーは結構汚い状況です。
本体は可動なのですが各所で機械的に壊れているところがあります。メインスイッチも途中でひびが入っていました。これはボンドで補修しました。
チャンネル手動切替のスイッチも樹脂の爪が折れてしまい固定できない状態でした。
欠けた部分が見つかりませんので、柔軟性のある接着剤でスイッチパーツを固定して対応しました。
バーアンテナのコイルが見えていますが、短波用ですので中波用と比べると巻数が非常に少なくなっています。
バーアンテナのコイルが見えていますが、短波用ですので中波用と比べると巻数が非常に少なくなっています。
以前はクリスタルを6個使用して、6バンドを受信する方式が採用されていましたが、この機種はPLLで6チャンネルをプリセットしているようです。メインのICは定番CXA1019です。仕様的には改造すればもっと広い範囲のPLLの短波ラジオとして使用できそうです。
時計、タイマーの部分は別基盤になっており、シールドされています。100Vの電源も別基板になっており、100Vの通電部は安全のためか、基盤への表示と絶縁処理が行われています。
この部分のスポンジは劣化が激しいのですが、部品が樹脂溶着となっているため交換は断念しました。
2013/04/30
Update:2021/08/13
トップページに戻る