SONY ICR-S4

Serial No. 94248、電池蓋はオリジナルではありません(ICF-S16のもの)

概要

AM専用の1-ICポケットラジオです。ICR-Sのシリーズは、ザ感度シリーズとして1980年頃に発売されていますが、そのシリーズの続きにしては、やや路線が異なる感じもします。AMのポケットラジオで最も廉価な部類という感じです。ICF-S16,　ICF-P16と全体的なデザインや内部の構造がよく似ており、同時代の80年代のラジオだと思いますが、正確な発売時期はよくわかりません。シールで後付的にMade in Japanと表示されています。
スピーカー以外はすべて基板取り付けで一体型です。基板の固定もツメで留められているだけで、大分とコスト削減されている感じです。この構造はICF-S16も同じです。
裏ぶたは爪がしっかりしていて外しにくいです。下側の電池ボックス内の爪はアクセスできますので、ここから外していることになると思います。プラスチックの差し込み具があると少し楽です。左右の爪は後ろから見て、右はイヤホンジャックの少し上、左は電池ボックスの1cmぐらい上の部分にありますので、この部分の前面側を内側に押す感じ(後面側を広げる)で外します。
ICはCXA-1033Pという16ピンDIPタイプが使用されています。中国のサイトでパチなのかオリジナルなのかわかりませんが、基本的な回路図等が入手できます。外付けの部品は、バリコンとアンテナ、発振コイルとIFトランス一つ、セラミックフィルタ一つと、ケミコン類とシンプルです。ボリュームにはICの要求仕様なのか、Bカーブのものが使われています。

仕様

発売：

1982年?

電源：

単3 x 2 (3V)

トランジスタ等：

1 IC

バーアンテナ：

約50mm

操作部：

電源SW付きボリューム

表示等：

受信周波数：

AM:: 530 - 1605 kHz

ターミナル：

イヤホン

サイズ：

W70mm x H120mm x D30mm

重量：

165g (電池別)

色：

黒＋赤、黒＋グレー

製造：

日本製

メンテナンス1

動作は問題なく、全般にきれいなラジオでした。内部確認のみです。

ビスはなく、裏蓋は、はめ込みにだけで固定されています。爪が深くて外しにくいです。

基板の部品面です。電子部品は電極とスピーカーを除き、基盤に直接付けられています。電極は組み込むときに接触するような構造となっています。スピーカーは一応ソニーブランドです。

ピンぼけしていますが、手前がチューニングダイヤルです、アルミの表示板文字の下にビスが隠れてしまっています。両面テープで付けられていますので、曲げないように外します。

バーアンテナは、ベークライトの端子で基板に取り付けられています。

基板のパターン側です。

裏側にコンデンサーが一つ設置されています。部品面に設置されている場合もあるようです。このサイトを見た方から情報をいただきました。

縦型ラジオであることもあり、バーアンテナは50mmと小さいです。

バーアンテナの接続図です。問い合わせがあり、確認しましたのでせっかくですので載せていますが、全体が見えないこともあり、一部推定です（赤の部分）。

メンテナンス2

グレーの方になります。通電しませんでした。液漏れで基板のパターンが傷んでしました。

ボリュームの部分です。ほこりがひどいのと、金属部が真っ黒です。清掃しました。

どこで使っていたのか、パターン側もほこりだらけです。

スピーカーには更にほこりがぎっしり。

基板を外してしまうと、電極が使えなくなります。動作テストの電源は、ボリュームとICの端子に接続しています。

掃除完了です。

通電しなかった原因は、液漏れで電極回りのパターンがダメになっていました。短い部分でしたので、銅線で接続しました。

音はでるようになりましたが、ボリュームが壊れているようで、音量調節がほぼききませんでした（爆音）。確認のため、可変抵抗の2端子を外して導通確認しましたが、写真上側の端子と抵抗体の導通がありませんでした。ボリューム本体の修理はギブアップして、外付け抵抗で簡易調整しました。

VRは50kΩ(B)で、本来の想定は、左：0/50kΩ, センター：25/25kΩ、右：50/0kΩです。断線した写真左側の端子と真中の端子を、20kΩの抵抗でバイパスしました。計算上は、左：20/50、センター：20/25、右：20/0kΩとなります。音量最小(左)でも音は出てしまいますが、実用上これぐらいで問題ありませんでした。直列、並列に抵抗を入れればもっと元の値に近づけられるのかもしれません。

動作確認後、組み直しました。電池のフタが欠品でした。ジャンク品のICF-S16の裏蓋を転用しました。

2018/02/27, Update: 2022/06/18"