SONY ICR-S7

Serial No.68700

概要

ソニーICR-S7はAM専用のラジオで、スピーカー付きのラジオとしては最も薄型の部類です。型番にはICRとありますが、ICは使用していないトランジスタラジオです。高感度を売りにしたザ・感度シリーズのラインアップとして発売されています。

ソニーのICx型番は、もともとはICラジオに使用されていた型番ですが、過渡期には純粋なトランジスタラジオにも使用されており、このラジオもその内の一つになります。
特殊な電池を使わないラジオとしては、単4電池の直径が10mm程度であることをから、本体厚さ12mmは最も薄いと思われます。単6電池と言われる電池は直径8mmですが、日本では広く流通していませんでした。非常に薄いラジオですが、薄さのあおりを受けてか、縦には長細い、少しバランスの悪い形状をしています。電源SWとダイヤル指針、ザ・感度シリーズに表記された、"SSP"の図案がオレンジでアクセントとなっています。
このラジオの発売の2年前に、同じぐらいの厚さのAMラジオICR-7が発売されています。デザインは異なっていますが、超薄型というということで、後継機種的な位置と思われます。電源SWは機械的なものではなく電子式で、60分の自動タイマーになっています。もう少し時代を下ると、タイマーICが使用されていますが、このラジオはトランジスタやコンデンサーに組んだ回路で実現しているようです。
この頃実用化されて薄型ラジオやハイエンド機種に使用された、サマリウムコバルト磁石を用いたスピーカーを採用しています。また、FETを使用したダイレクトミキサー使用とも謳われています。これらは本体の前面下部に表示されています。また、薄型対応のため、大容量の電解コンデンサーにはタンタルコンデンサーが多用されています。薄型ラジオの割には、ガンガン音が鳴ります。
部品の実装が密なため、型番の確認が難しいですが、全部で12石、オールシリコントランジスタのようです。2石はよくある半円柱状のパッケージで、ワックスで固まっており型番不明です。その他はのころ10石は、直方体の一辺を削ったような形状ですが、2Sxといった表記ではない番号だけの表記で、型番がよくわかりません。海外のパーツかもしれません。

仕様

発売:

1980年 (昭和55年)

電源:

単4x3 (4.5V)

トランジスタ等*:

12 TR (11 BJT, 1 FET)

音声出力*:

150mW

バーアンテナ:

50mm

スピーカー*:

50mm

操作部:

電源ON/タイマーSW、電源OFF SW、ボリューム、チューニング、DX/LOCAL切替SW

表示等:

受信周波数:

AM:: 530 - 1605 kHz

ターミナル:

イヤホン

シリーズ:

ザ・感度 SUPERSTAR

サイズ:

W62mm x H138mm x D12mm

重量:

86g

色:

ガンメタリック

製造:

日本製

価格:*

7,800円

*商品のしおり37

メンテナンス

電源スイッチは機械式ではなく電子式ですが、ONは動作するもOFFに出来ませんでした。内部を確認したところ、OFFスイッチが、押したときに多少は抵抗は下がるものの数kΩから下がらないことが原因のようでした。。スイッチを分解して洗浄や導電ペースト等を試しましたがうまくいかず、同じようなサイズのスイッチに交換しました。

ビス2本を外すと裏蓋が取れます。このビスは基板の固定も兼ねているため、スピーカーのはんだを外せば、基板も外せます。

基板パターン側です。セラミックフィルタは基板に穴をあけて取り付けられています。

基板実装側です。ICは見当たらず、AM専用ラジオですが、トランジスタが12石も使われています。トランジスタは日本製ではないような番号が付いています。ダイヤル針は独特の構造になっていますが、調整しやすいです。

電元ONとOFFのスイッチが並んでいます。写真右側が電源OFFのスイッチです。周辺にトランジスタとタンタルコンデンサーが見えますが、電子スイッチ・タイマーの回路のようです。

ダメになったスイッチは分解できるタイプです。スイッチを取り外してスイッチ内部確認しましたが、ドン電ゴムがもうダメになっているようでした。導電ゴムのチップを貼りつけるという修理方法もありますが、今回は、似たスイッチに取り替えました。

抵抗を図ると、導通状態でも数kΩありました。

秋月電子で似たスイッチを買いました。2本足1回路のものは余り種類が無く、10個セットで120円のものが大きさ的に近く、端子間隔も合います。高さが1,5mm程低かったので、ファイバー紙を4枚ほど重ねてスペーサーにして底上げしました。木とかベークライト板の方が加工が楽だったかもしれません。端子の間隔はばっちりです。

オリジナルのスイッチと概ね同じ高さにしました。。

取り付けたところです。取り替えたスイッチはクリック感があるので、感触が異なりますが、実用上は問題ありません。ON側もついでに交換しておけば良かったかもです。

組み直しました。

チューニング針の部分です。オレンジのパーツははめ込む位置を変えることで場所を調整できます。はめ込む部分は一部ギザが付いていて、はめ込めば動かないようになっています。

カタログ情報等

商品のしおり

商品のしおり37 (1981), p40
"ザ・感度"厚さ12mmの薄型タイプ。感度切替水ttい
(AM Sens)つきで鮮明な音質。(AM専用)
ICR-S7 ¥7,800

小型・薄型にもかかわらず、ワイドな5cm口径スピーカーからの、出力150mW(EIAJ/DC)のハイパワー
地域の電波状況にあわせて、より高感度な受信が楽しめを感度切替えスイッチ(AMsens)付
スイッチの切り忘れを防止する.節電設計の60分タイマーのオートオフ機能付

電源 - 乾電池(単4型,3個)4.5V
大きさ - 幅61x高さ137.3x厚さ12mm
重さ - 112g(電池含む)
通産省選定　Gマーク商品

2023/05/08

No.176