SONY MS-3300

概要

FM/AMの比較的大型のラジオです。FMでの音楽リスナーを対象にした商品といった感じです。FMの試験放送は1957年から、ステレオ放送の試験放送は1963年からあったものの、NHK-FMの本放送・民放はは1969開始で、このタイミングに合わせて、発売されたようです。
この時代のラジオでは、ステレオ放送は外部にアダプターをつけて聞くものが主流で、一躯体に両チャンネルのスピーカーを入れたものは見かけません。昔のオーディオの本には、「スピーカーと聞く人は正三角形の位置がベスト」とかあった記憶がありますが、立体感を出すため一体とせずに別置きだったと思います。
このラジオは、マトリクスサウンドと呼ばれるサラウンド機能があり、２チャンネルの音をより立体的にだせるような回路になっているそうです。最近PCの音楽ソフトでもサラウンドの調整等ができるものがありますが、同じような機能をアナログ回路で達成しているようです。MS-xxxxのMSはMS方式同様のものは、テープレコーダーにもありました。ラジオ単体としては、この機種のほかによりコンパクトなMS-3200, 木目調のMS-3400の２機種が発売されています。
マトリクスサウンドにつきましては、コラムにまとめがありますのでを参照ください。
ソニーのラジオはいいデザインものが多いと巷で言われていますが、このラジオも前面がシンプルなスピーカーグリルで、個人的にもなかなかいいデザインと思います。最近のBOSEのミュージックプレイヤーのようです。写真のものはクリーム色というか、薄い黄色ですが、その他にオレンジと白があるようです。
ワックスで固められている等で、見えないところもありますが、想像も含めて使用トランジスタは、2SC710 x3(?), 2SC633A x2, 2SC2785 x5, 2SB136 x1、低周波は2SC879 x2, 2SB495 x4といった感じです。ステレオなのでゴージャスな数が使われています。

仕様

発売：

1970年(昭和45年)

電源：

単1 x 4, DC 6V, AC100V

トランジスタ等：

17石（ラジオ部 16石、補助回路用1石）

操作部：

SW付音量VR、マトリックス調整VR、トーン切替SW、チューニングダイヤル, バンド/FMステレオ切替SW

表示：

ステレオ受信ランプ

受信周波数：

AM:: 530 - 1605 kHz
FM:: 76-90 MHz

ターミナル：

イヤホン, DC/AC IN

サイズ：

H150mm x W260mm x D150mm

重量：

約1700g

ニックネーム：

MS-33, マトリクスサウンド33

製造：

日本製

メンテナンス

ジャンク品として購入したものです。チューニングのスケール部分が熱で曲がって引っかかり、取っ手が破損しているなど、外観はがたがありましたが、ラジオ本体は稼動品でした。
メンテナンス箇所は、接触の悪いボリュームとバンド切り替えSWの清掃（エアパージと接点用スプレー）、全体の清掃とスケールの曲がり修理です。

裏蓋を外したところです。アンテナと電池ボックスの半田は外したほうが作業しやすそうです。基板間の配線が多く、たくさん写真を撮っておかないと、万一ちぎれたときが大変です。スポンジの劣化がひどく、そこらじゅうからくずが出てきます。壊れたハンドルのネジも裏蓋を開けるとでてきました。
基板は大きくは３枚に別れています。写真左のプーリーの隣はFMの高周波部分、真ん中の大きな基板がAMおよびFMのIF、パターン面が見えている基板はAC電源と低周波増幅です。

取っ手の部分はネジが外れて樹脂の小さなパーツが割れていましたが、残った部品だけで止めなおしました。ちょっと重いですが、動きは概ね問題なしです。

スケールが歪曲して針がひっかかることがありました。外側の樹脂は問題ないのになぜか内側のスケールだけが熱がかかったように曲がっています。ドライヤーで暖めて、できる範囲で修正しました。平板としてはまっすぐになりましたが、上部のへこみは修正できませんでした。一応、引っかかりはなくなりました。

このセットにはスピーカーが３個ついています。マトリクスサウンドでも２このものもありますので、多少方式が異なるかもしれません。茶色のネジ受けが割れていたため、接着剤で固定してスポンジも一応代わりのものをつけました。

裏蓋は洗剤で洗って、元の位置に代わりのスポンジを取り付けました。本体側はスピーカーを外すのに一部樹脂の溶着のように見えるところがあったため、丸洗いは止めました。

2010/02/02

トップページに戻る遠いページメニューに戻る