SONY SRF-M3V

Serial No.314078

概要

ソニーSRF-M3VはFM/AM/VHF3バンドの名刺サイズラジオです。PLLシンセサイザーを使ったデジタルチューニングです。スペース的にきびしかったのか、スピーカーは搭載されておらず、外付けイヤホンで聞くタイプです。

周波数デジタル表示のPLL方式の名刺サイズ通勤用ラジオの1号機は、1987年発売のICF-M1のようです。その後VHF付きのICF-M2Vが1988年に販売され、SRF-M3Vは、1989年に発売された第3弾で、更にFMステレオになりました。FMステレオのSRF型番のPLLラジオとしては最初のモデルと思われます。
この頃の、スピーカーの無いイヤホンで聞くステレオラジオ(FMウォークマン等)は、ソニーのカタログでは「ラジオ」ではなく、「ステレオレシーバー」に分類されていました。
スピーカはイヤホン専用のラジオです。FMステレオはイヤホンで聴取することになるので、思い切って省いたのか、スペース的に厳しかったのかはよく分かりません。イヤホンはFMのアンテナを兼ねています。
プリセットは各バンド7局で合計21局です。長押しすると自動でスキャンして、受信したところで停止するオートチューニング機能はあります。エリアコールといった自動設定機能はまだありません。また、時計機能・タイマー機能もない、シンプルな仕様です。新しいモデルではあまり見ない、感度切替スイッチがついています。
プリセットは、手動またはオートスキャンで登録する放送局を受信し、背面のENTERボタンを押しながら、登録したいプリセット選局ボタンを押します。電池を外しても3分程度はメモリーをバックアップしているようです。
電源スイッチは電子式で、オートオフの機能がついています。特にイヤホン専用ラジオはスイッチがはいりっぱなしでも気が付きにくいので、役立ちそうです。また、メモリーバックアップのためある程度電池が消耗して電圧が下がると、電源がOFFになるようになっています。
日本では、1978年に中波の局間隔が10kHzから9kHzに変更されました。このラジオのステップは9kHz固定で、10kHzへの切替ができませんので、海外の一部の国で使用できません(下2桁90kHzの局は受信できそうですが)。
メインのラジオ用ICはCXA20111が使用されています。トランジスタも多く使われており、Q14まで基板上で確認できます。PLLやLCDドライブのマイコンはLCDの裏にあるようですが、確認できていません。

仕様

発売:

1989年 (平成元年)

電源:

単4x2 (3V)

トランジスタ等:

IC, TR

音声出力:*2

20 + 20 mW

バーアンテナ:

約50mm

スピーカー:

なし

操作部:

電源ボタン、バンド切替ボタン、ボリューム、感度切替SW、STEREO/MONO切替SW、SCAN(+/-) ボタン、ENTERボタン

表示等:

LCD (バンド、周波数、プリセット番号)

受信周波数:*2

AM:: 531 - 1629 kHz (9kHzステップ)
FM:: 76 - 108 MHz　（0.1MHzステップ）
VHF:: 174 - 223MHz (1 - 12 CH)

ターミナル:

イヤホン(2.5φステレオ)

シリーズ:

サイズ:

W58 x H95 x D17 mm

重量:

62g

色:

黒

製造*1:

日本製

価格*2:

13,800円 (標準価格、税別)

*1　本体記載　　*2　商品のしおり

メンテナンス

液晶表示はされるものの音がでませんでしたが、付属イヤホンの不良で、本体は問題ありませんでした。内部の液晶部分に、錆びのような茶色の汚れがあります。内部確認と掃除をしました。

液晶左下の部分に錆びのような汚れがあります。

ビス2本を外して、爪を外すと分解できます。結構埃が入り込んでいました。後ろ側からみて左下の部分に強力な両面テープが貼ってあり、背面側のキャビネットは、へらで少し力を入れないと外れませんでした。基板には保護用の黒いフィルムが貼ってありますが、基板を壊さないよう、慎重にやる必要がありそうです。例によって、ウレタンスポンジはボロボロになっています。

液漏れ跡があります。後ろ側キャビネットは、ブラシ、ウェスで掃除しました。

前側キャビネットとシャーシはビス2本で留まっています。バーアンテナはスポンジ両面テープで固定されていたようです。

液晶パネルは電池のマイナス極のすぐ隣で、液漏れが液晶の金属枠を錆びさせてしまったようです。

黒い保護シートの下に、ラジオ用のICがあります。

黒いシートが一部破損してしまいましたので、ポリイミドテープで補強しました。

かなり強固な付着で金属へらでもあまり取れませんでした。LCDを壊すといけないので、鉄くずが落ちてこない程度までにしました。

このシール状の部品は、上部ボタンに使われているものですが、1つだけこんなところについていました。ボタン側は足りていますので、作業ミスかなにかでくっついてしまっていたと思われます。

組み直しました。ボロボロのウレタンスポンジの部分の手当を忘れていたのに気づき、このあと、バーアンテナ前後に、スポンジテープを貼りました。　

シャーシは3つの基板がはんだ付けで組み合わさっており、分離が大変そうです。今回、動作は問題なかったので、内部は確認できていません。

カタログ情報等

製品のしおり

製品のしおり62 (1987), p81

TV1~12ch/AMに加え、FMステレオの合計21局までをプリセット。名刺サイズの一発選局ラジオ
TV1~12ch/FMステレオ/AMポケッタブルラジオ
SRF-M3V　　標準価格13,800円(税別)
主な付属品:キャリングケース、ステレオイヤーレシーバー

TV1~12ch/FMステレオ/AM各7局合計21局のメモリープリセット。ワンタッチで呼ひ出し可能
液晶による受信周波数デジタル表示
小型・軽量名刺サイズ
約90分で電源か切れるパワーオートオフ機構

電源:乾電池(単4X2)
大きさ:幅58.6x高さ96.8x奥行16.5mm
重さ:78g
電池持続時間:UM-4使用時、約10時間(FM時)

パッケージ

黒地に緑字のパッケージです。FMステレオより、TVが強調されています。

裏側は本体の操作部の説明になっています。

2024/07/17

No.218