SONY TFM-7170

概要

比較的コンパクトですが、アダプター無しで100Vで使うことができる、AM/FM2バンドのホームラジオです。長時間の使用を想定してか、電池も単一が使われています。ICを使わないトランジスタのみのラジオとしては、かなり後期のもののようです。固定式の取手がついており、持ち運びにも便利です。
AC/DC2両用・ポータブル・FM/AM2バンド・シンプル操作のラジオは、この後も後継機種が継続して販売されています。
機能で取り立てて特別なものとしては音質調整くらいで、その他は必要なものに絞られています。バンド切り替えSWも基板上設置で、操作は背面で、廉価な設計のように思います。100Vも電源コードは、プラグ式ではなくて、本体に直結されており、本体にコードごと収納できるようになっています。
この頃になると、トランジスタxx石というのがセールスポイントでなくなったのか、このラジオ本体には書かれていません（カタログの仕様一覧には記載があります）。中を見る感じではトランジスタとしては12個のようですが、以下に記すように、ダイオードとして使用されているものが1石あり、カタログ上は11石となっています。
トランジスタ12個内のゲルマニウムのトランジスタは、ベースとコレクタが直結されており、ダイオードのような使い方になっています。基盤上の扱いもダイオードとなっています。時期的にはゲルマニウムトランジスタが廃れて行く時だと思いますので、在庫処分としてコストダウンのために使われたのでしょうか。このトランジスタ(ダイオード)は電源の部分につかわれており、電池の逆接続防止用みたいです。
一昔前だと、交流→直流は、中間タップ付きのトランスに、ダイオード2本で整流していたように思いますが、このころになると半導体の価格も安くなったためか、交流電源の整流には、通常のトランスに2ダイオードのパック2個を使ってブリッジを組んで全波整流しています。
本体は韓国製です。ただ、半導体類は日本のものが使われています。使用トランジスタは、全部で12石で、高周波～中間周波は、2SC930 x5, 2SC-929(?) x2, ドライブアンプには、2SC536 x2 パワーアンプは2SD545 x2, あと、前出のゲルマだトランジスタは、2SB406です。

仕様

発売：

1978年(昭和53年)

電源：

単1x3 (4.5V), AC100V

トランジスタ等：

TR x 11*

音声出力:

500mW*

バーアンテナ:

140mm

スピーカー:

90mm

操作：

電源SW付ボリューム、チューニングダイヤル、バンド切替SW、トーンコントロール

受信周波数：

AM:: 530 - 1605 kHz
FM:: 76-90 MHz

ターミナル：

Earphone

色：

黒

サイズ：

H145mm x W245mm x D67mm (取って含まず)

重量：

1200g

製造：

韓国製

価格:

10,800円

メンテナンス

液漏れのあとがひどいですが、動作は問題ありませんでした。分解清掃のみ実施です。

裏カバーを外したところです。外観はきれいでしたが、内部なそれなりにほこりもあります。また、液漏れの跡もあったので、分解清掃です。

＋極側で液漏れがひどいです。ケースは取り外して洗剤で水洗しました。

ケースから外した基板です。比較的分解はしやすく作られていると思います。

バリコンは基板上にありますがチューニングのメカとは凹凸でつながっているだけで、簡単に分解できます。チューニングメカは廉価な割りにはしっかりしているように思います。

ダイオードとして使われているトランジスタです。ホットメルトが基板にかかっていて見難いですが、ダイオードの記号が印刷されています。

ごわごわになった塩ビの電線にクレポリメイトを塗って寝かせると、柔らかくなると聴きましたので、試してみました。結果は数か月後に判明します。主成分はシリコーンらしいですが、多少浸透するのでしょうか。

カタログ情報等

製品のしおり

製品のしおり31 (1979), p41
横幅いっぱいのダイヤル
標準型FM/AM2バンドボータブル
TFM-7170　　　¥10,800

キャリングハンドルつき
横幅いっぱいの横行ダイヤル目盛盤、正確で合わやすい指針
LOW⇔HIGHトーンコントロールつまみ
AC電源内蔵、ACコードはキャヒネットのポケットに収納可能
出力500mW(EIAJ/DC)、9.2cmスピーカー
セラミックフィルターを採用し選択度は良好

電源 - 乾電池(単1型,3個)4.5V、電灯線
大きさ - 幅260 X 高さ190 X 奥行78mm
重さ - 15k9(乾電池含む)

2010/12/30, Last Update 2023/06/10

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