Sony TR-1811
概要
- AM専用の縦型ポケットラジオです。1964年発売で、縦型のポケットAMラジオとしてはTR-650の後継に当たるのかもしれませんが、デザインは全く異なっています。TR-610以来、スピーカーを強調したデザインが多かったですが、このラジオはすっきりとしたデザインです。
- コストパフォーマンスを売りにしていたようです。価格は4880円（なぜか半端）で、TR-650の6300円よりもかなり安くなっています。雑誌広告のコピーも、"ONE POCKET ONE SONY"となっており、安さを謳っています。物価が上がり続けていた時代であることを考えると、かなりのコストダウンではと思います。電池ボックスには紙が使われていたりとか、コストダウンと跡が伺えます。
- デザインもそうですが、型番も作りもこれまでのラジオから大きく変更されてます。SONYのラジオの型番は最初の数字がトランジスタの数と同じでTR-6xか、TR-6xxでしたが、このラジオからはいきなり牛蒡抜きの1800番台になっています。これ以降の6シリーズは無くなってしまい、xR-xxという型番のつけ方に移って行きます。その後、TRはまた復活しますが、1800番台はちょっと普通のラジオではない、際物に使われる番号になっています。
- トランジスタは6石で、すべてゲルマニウムです。回路はオードドックスなものです。2SC73が局発・混合用に、中間増幅は2SC76 x2, 低周波は2SD65 x 3で、トランスを使った普通のプッシュプルです。
仕様
- 発売：
- 1964年(昭和39年)
- 電源：
- 006P x 1
- トランジスタ等：
- TR x 6
- 操作：
- 電源SW付きボリューム、チューニングダイヤル
- 受信周波数：
-
- AM :
- 530 - 1605 MC
- ターミナル：
- Earphone
- 色：
- 白/黒/赤（写真は赤です）
- サイズ：
- H113mm x W62mm x D30mm
- 重量：
- 180g
- 製造：
- 日本製
- 価格：
- 5880円（現金正価）
メンテナンス
スポンジが無い以外はきれいなラジオです。電源を入れるとほとんど聞こえず小さくピーピー鳴るだけでしたが、単に電池切れで、機能的にも全く問題ありませんでした。
裏からは半田面しか見えません。イヤホンジャックは基板に直付けされています。
基板をはずしたところです。アンテナ、バリコン、チューニングメカ、ボリュームはプラスチックのフレームに取り付けられています。アンテナ位置の改良で感度が上昇したとのことです。TR-650よりは、多少基板から離して設定されているようにも見えます。
基板の集積度はかなり高いですし、安いから手抜きというわけでもありません。当時は部品代が高く組み立て人件費はそれほどでもなかったのかもしれません。
チューニングは結構凝っていて、プーリーと糸で円形のダイヤルを回し、更にギアでバリコンをまわします。
ここはなんか安っぽい感じがします。
清掃を完了しスポンジを張り替えました。
カタログ情報等
発売当時の雑誌の広告
ワン・ポケット ワン・ソニー！
デザインは軽快な＜スリムスタイル＞
持ちやすく、ポケットやバッグにもしっくりなじみます。
超小型ラジオとしては異例のエコノミカルプライス－４，８８０円
「どなたのポケットにも１台のラジオ」
このアイデアが生きています。
そのうえ、使われているトランジスタは永久保証。
世界でも類例がありません。
超小型6石ポケッタブルＴＲ－1811
現金正価 ￥4,880 定価￥5,120円
●100c/sも低音域が伸びた、新設計スピーカー
●アンテナ位置の改良で抜群の高感度・低雑音
●丸窓ダイヤル、音量メータつきの精密設計
●大きさ113×62×29mm 重さ210g
2011/10/31
トップページに戻る