SONY TR-1823
概要
- AM専用のラジオです。ポータブルと言えばポータブルですが、立方体のラジオで一般的なラジオらしいデザインではありません。操作面は上面にあり、側面なのか前面なのかわかりませんが、垂直面にスピーカがあります。ソニーのTR-18xx型番は、一部のものを除いて色物というか、普通のラジオっぽいデザインではないシリーズになっています。このラジオもその一連のものになります。
- 日本の広告ではマスコットラジオというコピーになっており、机上などでの使用をイメージして作られています。下面にはフックがかけられるような部分があり、壁につけることもできたようです。英文広告では単に形からとった"Attracitve Cubic Radio"というキャッチコピーがつけられています。
- スピーカが付いているようなグリルが２つの側面にありますが、スピーカーが付いているのはその片方だけになります。もう片方は、後面開放スピーカーのための開口部ということだと思います。横に寝かせることもできますが、スピーカーの位置からして、上面操作・側面スピーカーというのがふつうの使い方のようです。
- 写真のものは敷島製パンのノベルティだったようです。銘入れをして記念品などにもされたようです。なんだかよくわからない紋章のようなものと、"SOLID STATE AM"の文字はディフォルトでつくようです。
- 写真のものは色は白色です。そのほかにモスグリーン色が日本では売られました。海外では赤と黒がカタログにラインアップされています。電池は裏蓋をコインで外したところに電技ボックスがあります。裏蓋を外すと基板が丸見えになります。
- 200mWとなっていますが、結構な音量で鳴ります。このラジオにはイヤフォンジャックが付いていません。ラジオの回路としてはオーソドックスな6石ラジオです。電力増幅もトランスを用いた普通のプッシュプルになっています。手持ちのもので使用されているトランジスタはRFはシリコン3石(2SC829)、AFはゲルマニウムトランジスタ3石(2SB136)の構成です。
仕様
- 発売：
- 1969年
- 電源：
- 単3 x 3
- トランジスタ等：
- 6TR
- 音声出力：
- 200 mW
- バーアンテナ：
- 約55mm
- 操作部：
- 電源SW着きボリューム、チューニング
- 表示等：
- なし
- 受信周波数：
-
- AM:
- 530 - 1605 kHz
- ターミナル：
- なし
- サイズ：
- W85mm x H85mm x D85mm
- 重量：
- g
- 色：
- 白、緑、（海外：白、黒、赤）
- 製造：
- 日本製
- 価格：
- 3,600 円
メンテナンス
電池ボックスが腐食して無くなっていました。外観はまあまわキレイでしたが、チューニングつまみにラッカーなどで目盛りが塗装されてていました。
電池ボックス内での液漏れがひどく、マイナス側も緑青でさびさび、プラス側の一部は腐食して外れたのかなくなってしまっていました。
分解はまずは上部のつまみを外す必要があります。SW付ボリュームのつまみは引っ張れば抜けます。チューニングつまみは側面に切り込みがある部分があり、そこからマイナスドライバーを入れて固定ねじを外します。
このような感じで、チューニングつまみが取り外せます。ラッカーのようなもので赤い目盛りがふってあり、紙やすりなどで除去しました。スピーカーはボンドのようなもので固定されていて、少し削りましたが、なかなかうまく外れませんでしたので、配線を外してメンテしました。
プラス側の端子は5mmのハトメがぴったりでしたので（色が金ですが）これを付けました。マイナス側の電極の錆も落としましたが、残念ながら音はでませんでした。
電流は10mA程度で正常でした。検波後のAFに入る前の信号を取り出して増幅すると音は鳴りました。下流側に向かって信号を拾って確認しましたが、最終のプッシュプルのトランジスタの後までは信号がきており、スピーカー正常のため、トランスが不良との結果になりました。
トランスの断線だと修理が難しいですが、よく確認するとトランスのセンタータップ線（赤色）が基板側の根本で切れているのを発見しました。緑青がついており、液漏れによる腐食のようです。
センタータップはトランスから直接コードが出ていましたので、長さの余裕も作れるように、コードを継ぎ足しました。
組み上げる前に、分解したままで動作確認します。
再び組み込み無事修理完了しました。ボリュームがやや不良気味で、音量が十分絞れず、接触も悪いのですが、軸が細いあまり見ないタイプですので、修理・交換また検討したいと思います。
2017/04/01
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