SONY TR-3500
Serial No. 不明, 本体:赤
Serial No. 不明, 本体:青
概要
- TR-3500は、ポケットタイプのトランジスタラジオです。ラジオの性能的には、近距離中波受信用のごく普通のAM専用ラジオです。色は赤・青・黒の3色があるようです。写真の赤、青ともに時間がたったためか、元からそうなのか、シックな色調です。
- カタログのコピーには「高感度ポケッタブル」とありますが、回路的には普通の6石トランジスタラジオで、バーアンテナも特に大きいわけではありませんので、やや看板に偽りありという気もします。
- コストダウンのためか、基板、スピーカー、アンテナともねじ無しで簡単にはずせ、本体ケースと完全に分離できますので、メンテナンスしやすいです。ただ、基板と前面パネルの固定が今一つ緩く、ガタつきが多い個体が多いように思います。
- このころのポケットラジオは以前に比べると廉価版のためか、一昔前のポケットラジオよりも2周り大きい感じです。チューニングダイヤルは本体の割りに大きなものが使われており、比較的チューニングがやりやすいです。
- 電池の交換は裏蓋を丸ごと外すタイプです。前面パネルの下部には大きな切り欠きがあり、奥側の電池が取り外しやすくなってます。型番等は、裏ふた自体に文字入れされていますが、シールが使用されているものもあるようです。
- 回路的にも6石スーパーヘテロダインラジオのオードソックスなつくりのようです。電力増幅は入出力トランスを使った通常のプッシュプルです。部品もぎゅうぎゅう詰めではなく、比較的ゆったりとしています。
- 使用トランジスタは、製造時期により、バリエーションがあるようです。赤の個体は、全体の発振/ミキサー、中間増幅2段に2SC710が3個、低周波増幅には電圧増幅1個、電力増幅2個とも2SC1363が3個使われていますが、青い個体の低周波の電圧増幅には2SC633Aが使用されています。ケース・内部とも、この後継機種と思われるTR-4170と非常に似通っています。
- 2個ともシリアルナンバーの記載がありませんが、スピーカーのモデル番号からみると、青色の方が後から作られているのではと思います。
仕様
- 発売:
- 1973年(昭和48年)
- 電源:
- 単3 x 2
- トランジスタ:
- 6石
- 操作部:
- ボリューム、チューニング
- 受信周波数:
-
- AM:
- 530 - 1605 kHz
- ターミナル:
- イヤホン
- サイズ:
- H120mm x W70mm x D30mm
- 色:
- 赤、黒、青
- 重量:
- 190g
- 製造:
- 日本製
メンテナンス
外側はほこりだらけですが、動作面ではボリュームの接触が非常に悪いものの受信・音量とも問題の無い様子でした。ボリューム清掃と分解清掃を行い、問題なく動作するようになりました。
ボリュームを微妙に触ると音がでるときもある状態です。ざっと掃除をしましたが、写真では見えにくいですが、前面のスリットになった部分にほこり詰まっています。
電池の交換に裏蓋の開放が必要ですので、この時点で中身が見えます。中のほこりはそれほどでもありませんでした。
基板上に近接して2つの電池電極が付いており、ショートしてしまいそうな感じですが、割としっかりしています。このタイプの電池電極は、このシリーズでしばらく続きます。
アンテナは本体プラスチックにはめ込みになっており、ツメを外せば取り外せます。アンテナのリードは細いのでちぎらないように注意が必要です。リード線が接続されている抵抗等は、リード線が塗装されていないものが使われています。
スイッチつきのボリュームは、カバーを外して接点を確認できるタイプでしたので、綿棒で掃除をしたあと、接点復活剤を少し吹きかけました。
基板は右側のツメを広げると外れます。スピーカは左側にツメがあります。
スピーカーのほこりは、刷毛ではたき、しつこい部分がガムテープでそっと掃除しました(あまりいい方法ではないのかもしれません)。
本体は洗剤で水洗いし、汚れのしつこいところはメラミンスポンジで軽くこすりました。
スピーカーのほこりは、刷毛ではたき、しつこい部分がガムテープでそっと掃除しました(あまりいい方法ではないのかもしれません)。
本体は洗剤で水洗いし、汚れのしつこいところはメラミンスポンジで軽くこすりました。
ボリューム洗浄後、戻す前に動作確認しました。ガリも無くなり良く聞こえるようになりました。後は洗ったケースに組み付けて完了です。
メンテナンス-2
ボリュームのガリと接触が悪くて音が出ないときがある以外動作は問題なく、本体もだいぶ綺麗でした。
割とぴかぴかです。寿命の面で評判の良くない高い2SC710も、足が黒くなってきていますが、いまのところは問題なさそうです。ボリュームを分解、清掃のみです。
この個体に限らず、基板の固定がいまひとつ緩くかたかたなります。基板と本体の隙間を厚紙のくさびで固定して、弱い接着剤で固定しました。
カタログ情報等
商品のしおり 14 (1974), P16
手軽な価格、気軽なラジオ(AM専用)
TR-3500 ¥2,400
- 重さわずか200g、行動派のためのムダのない設計、色もカラフルです
- 高性能と手ごろな価格のソニーの結晶、ポケットやバッグの中にどうぞ
2009/11/23, Last update: 2022/01/08