SONY TR-4600

Serial No. -

TR-4600は6石のAM専用のトランジスタラジオラジオです。このラジオは、分類でいうとポータブルラジオになると思いますが、ソニー唯一の自転車での使用も想定した、コンパーチブルモデルです。ショルダーベルトが付属しており、持ち歩きながら聴くこともできます。カーラジオの普及期には、ポータブル・車載共用モデルがコンパーチブルという愛称で販売されていましたが、このモデルは特にネーミングされていません。
他に類を見ないデザインのラジオです。音量とダイヤルスケールは、バイクのスピードメーターとタコメーターのような円形のデザインです。音量もチューニングも手で動かしますので、同調メーターのようには振れる訳ではないのですが、個人的には機械萌えするデザインと思います。
チューニングつまみは、本体の前面からも後面からも操作することができます。自転車に設置時は、縦置きを想定しているようで、上部の表示部が20度ぐらい、手前側に傾いており運転中見やすくなっています。また、下面にはでっぱりの足もついており、自立します。
自転車への取り付けは側面のU時型のくぼみを、自転車に取り付けた金属のホルダーに沿わせる形で固定します。固定用のホルダーは別売りで950円だったようです。自転車を降りるときは、スポッと取り外して持ち運べます。防水ラジオではないため、つけっぱなしの想定ではなかったと思います。
1970年頃から、小中学生の間で、派手なヘッドライトや電子フラッシャー（派手な電気式の方向指示器）の付いた自転車がブームになっていましたが、その流れなのでしょうか。1975年頃に発売終了した後は、同じたぐいのラジオは発売されておらず、ソニーとしては、最初で最後の自転車用ラジオだったようです。
手元の写真のものは屋外での使用のためか、もとのカラーは緑ですが、一部が深緑に変色してしまっています。少しこすったぐらいでは全然変わらないので、かなり深い部分まで変色してしまっているようです。
バーアンテナは70㎜と一般的なポケットラジオよりやや大きいですが、自転車にラジオを固定してしまうと、方向設定が聴きませんので、実用的には、運転中はローカルの大出力局用かもしれません。
回路的には、オーソドックスな6石トランジスタラジオです。局発・混合には2SC710 x1, IF増幅には2SC710x2, 低周波の電圧増幅には、2SC633A x1, 最終の電力増幅は入出力トランスを使用した一般的なプッシュプルで、2SC633A x2が使用されています。