SONY TR-628
概要
ソニーTR-628は、中波専用の電池式のホームラジオです。機能を絞ったエントリーモデルで、TR-627の後継機種のようで、外観も機能もよく似ています。
- このモデルは、木目調の茶色のモデルと、オレンジ・赤・緑・青のバリエーションがあるモデルの2種類があり、それぞれ仕様が若干ことなります。はっきりしませんが、茶色は日本で、それ以外のものは海外で販売されていたようです（日本では茶色しか販売されていなかったのは確かのようです）。ここでは前者を国内モデル、後者を海外モデルとしています。販売地域で好みが異なるためなのか、このラジオ以外にも、海外では原色のバリエーション、国内は茶色・木目といったラジオがいくつかあります。
- 国内モデルには、トーンコントロール、イヤホンジャック、DC6Vのジャックが付いています。また、周波数のスケールの部分のデザインも少し異なっています。
- TR-627の後継機種と思われます。内部の作りも似ており、当時の販売価格も同じでした。国内モデルモデル同士で比較すると、機能的な変更点は、DC入力の端子がつきました。海外モデルで比較すると、トーンコントロールが省略されており、コストダウンを図る方向に行っています。
- 前モデルを踏襲し、大きなバーアンテナにエアバリコンの組み合わせで、チューニングみやりやすいです。6石ですが、躯体とスピーカーがしっかりしていることもあり、よく鳴るように思います。
- 6石ラジオで低周波のドライブアンプは1段ですが、スピーカーと躯体が大きいためか、聞きやすい音質でよく鳴るように思います。
- 回路的には標準的な6石ラジオです。TR-627はオールゲルマニウムトランジスタでしたが、このモデルでは、最終段以外はシリコントランジスタが使用されています。写真のセットは、高周波～中間周波には2S403 x 3、低周波の1段目は2SC401x1、パワーアンプにはゲルマニウムの2SB22が使用されています。シリコントランジスタには、2SC829等が使用されているセットもあるようです。
仕様
- 発売：
- 1966年(昭和41年)*2
- 電源：
- 単1 x 4
- トランジスタ：
- 6石
- 音声出力:
- 400mW(無歪),600mW(最大)*3
- バーアンテナ:
- 160mm
- スピーカー:
- 100mm, 8Ω*3
- 操作部：
- 電源SW付ボリューム、チューニング、トーンコントロール(国内モデルのみ)
- 受信周波数：
-
- MW:
- 530 - 1605 kC
- ターミナル：
- イヤホン（国内モデルのみ）、DC6V（国内モデルのみ）、アース・アンテナリード線
- サイズ：
- H150 x W280 x D85mm （取手、足含まず）
- 重量：
- 1335g
- 色:
- 茶(木目)、緑*、赤*、オレンジ*、青*
- 製造：
- 日本製*1
- 価格：
- 5980円
*海外モデル *1 本体記載 *2 製品のしおり *3 回路図集5
メンテナンス１
本体が緑のセットです。動作は問題ありませんでした。以前の持ち主の方が掃除してくださったようで、内部もきれいでした。
木質ボードの裏蓋を外すと、内部にすぐアクセスできます。内部は比較的綺麗です。
中身は比較的簡単にまるごと外せるので、メンテ性は良いように思います。
前面パネルの接着剤が劣化して外れてしまいましたので、貼りなおしました。本体ケースには、このモデルでは省略されたトーンコントロール用の穴が空いています。
以前の持ち主の方がそうじしてくださったのか、きれいでした。本体は水拭きのみ行いました。
チューニングメカです。
メンテナンス２
電池金具のサビがひどく、電池金具を止めているビスが完全に腐食しており、加工して固定しました。ボリュームは、接触が酷く悪い上に、音量調整ができませんでした。
プラス極、マイナス極とも液漏れがひどく錆錆でした。
マイナス側です。ばねの部分はなんとかなりそうです。動作には関係しませんが、下側への液漏れがひどいです。
前のケースもそうでしたが、このセットも前面パネルの接着剤がダメになり、剥がれてきています。
ジャック類のところまで、サビが押し寄せています。
取り外したシャーシ前面側です。比較的容易に外せます。
シャーシの後面側です。
基板の実装面になります。
TR-627で使用されていた最終段のトランジスタは、黒色でずんぐりしたタイプでしたが、このモデルでは、細長いキャン入りのゲルマニウムトランジスタ2SB22が使用されています。専用の放熱板なのか、放熱板にも型番が記載されています。
2SC403です。初期のシリコントランジスタで、製法上の都合なのか端子は円柱ではなく、薄い板状のものが使われています。
2SC401です。こちらは、低周波に使われています。
左の3つが電池ボックスを固定していたビスです。3mmの旧JISのビスで金具側にネジが切ってあります。ビスは溶けてなくなっていたりしていましたが、旧JISの3㎜はISOネジとピッチが異なるため、金具側の穴のネジ山をバカ穴にして、3mmのビスナットで留めました。
金具です。ビスが途中で折れました。
ケースは丸洗いしました。ビスの受けは入念に水気をとりました。
緑のセット同様、このセットもダイヤル部分のカバーが劣化して外れていました。
電池金具です。できる範囲でサビを落として、3.2mmの穴を開けました。
ビスナットで留めました。電池とは干渉せずにすみました。6mmぐらいのビスがよさそうです。
カタログ情報等
製品のしおり No.54
- エコノミカル・ホーム型
- TRー628 ￥5,980 (￥6,300)
- 持ちやすいハンドルつき、電灯線でも使えるホーム型、どこでも美しい音の放送がたのしめます。経済的な大型電池(単1)を使用。高音から低音まで連続的に音質が変えられます
- 大きさ 304 X 142 X 88 mm
- 重さ 1.7kg
- 電源 単1x4コ電灯線ACー90使用
- 色 茶木目
前機種のTR-627と似た内容です。エコノミカルと付いたのは、ACアダプターがあればAC100Vで使用できるからでしょうか。
2024/01/25>
No.201
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