エリアコール

概要

エリアコールは、1990年に発売されたソニーのPLLシンセサイザーチューナー付属の選局機能です。地域名を選択すれば、プリセットされたその土地のラジオ局を一発選局できる機能です。PLL方式のラジオは1970年代後半に、ハイエンド機に搭載され始めました。当時は、7セグメントLEDを用いて周波数表示をしており、そのまま小型化は難しい状況で、周波数表示無しの耳探りPLLラジオも販売されたりしていました。

時を下って、液晶ディスプレイや制御用マイコンの価格が安価となり、1990年初頭から、LCD表示付きでマイコンを使ったポケット（名刺サイズ）ラジオの発売がはじまりました。これらのポケットラジオには、手動のプリセット機能もありましたが、より設定が楽ちんのエリアコール搭載のモデルが発売されました。

この機能がついたラジオは同じようなマイコンが搭載されているためか、操作は似通っています。ただ、液晶表示の機能が限定されていたためか、機能設定のようなメニューはマイコンに搭載されておらず、設定・使用方法がやや複雑です。

選択できるエリアは、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡、JRの6つです。JRは東海道・山陽新幹線の車内で放送されていたオリジナルFM放送で、グリーン車では車載のヘッドセットで楽しめましたが、普通車両でもFMラジオで聞くことができました。76.0, 76.7, 77.5, 78.8, 79.6MHzの5チャンネルがありました。2013年頃のプログラムを見ると、1-4Chは、東海道と山陽で別プログラムで、クラッシク、ポップス、英会話などが隔月更新で放送されていたみたいです。5chはNHK第一放送を再送信していました。

しばらくして、更に改良を進めたNEWエリアコールにバージョンアップされています。

表示とボタン

液晶はドットマトリクスではないので、決まった表示しか出せません。大まかに、バンド・AM/PM表示、エリア表示、プリセット番号表示、時刻・周波数表示の4つの部分に分かれています。他社でもあったのかもしれませんが、時刻の"AM"とバンドの"AM"の表示は共用されており、素子がひとつ節約されています。

操作ボタンは、MY MEMORY, AREA MEMORY, BAND, AREA, ALARM, ENTER/CLOCK, TIMER, TUNE/TIME SET (+/-)の9つあります。機種よって場所はまちまちです。SRF-M100では、前面、底面、左側面にあります。

機能と使い方

電源スイッチ、バンド切替スイッチ、ボリューム

電源スイッチ、バンド切替は電子スイッチ、ボリュームは可変抵抗で、操作は通常のラジオと変わりありません。

通常選局

2つのTUNEボタンで行います。各バンドの最小ステップ(AM=9kHz, FM=0.1MHz, TV=Ch)で周波数が変更されます。ここまでで、とりあえずラジオとして使用できます。

時刻セット

時刻の設定・調整はラジオの電源が入ってない状態で、裏面のENTER/CLOCKボタンを押しながら、側面のTUNE/TIME SETボタンで調整します。電池を抜いても、しばらくは内部のコンデンサの電気で時計は動作します。

マイメモリーへのプリセット

バンド・周波数をプリセットして1発選局することができます。7チャンネルが登録できます。登録ですが、まずは好きなバンドを選択し、右側面のTUNE/TIME SETボタンで目的の周波数に合わせます。その後、裏面のENTER/CLOCKボタンを長押しすると、プリセットナンバーが点滅しますので、点滅している間に、MY Mボタンを何度か押して、セットしたい番号にした後に、もう一度ENTERボタンを押します。

マイメモリーでの選局

電源ONの状態で、MY MEMORYボタンをします。以前に選択されたプリセット番号のマイメモリーが選択されます。そこからMY MEMORYボタンをさらに押すと、次のプリセット局が選局されます。

アラーム、タイマー

ARLAMボタン（またはTIMERボタン）でON/OFFの切替ができます。これらのボタンを押したまま、TUNE / TIME SETボタンを操作することで、時刻を設定できます。

エリアコールによる選局

AREAボタンを何度か押し、表示を見ながら、札幌(SPO)、東京(TYO)、名古屋(NGO)、大阪(OSA)、福岡(FUK)、JR(JR)のいずれかを選択します。その後、バンド切替SWでバンドを選び、AREA MEMORYボタンを押してプリセットされた周波数を選択します。JRは当時新幹線の社内向けに放送されていたものです。

2023/06/07