SONY ICF-S54V

Serial No. ?

概要

ソニーICF-S54Vは、名刺サイズのAM/FM/VHF3バンドラジオです。単4電池のスピーカー式のラジオとしては、最もコンパクトな部類です。

同一サイズのラジオで受信バンドが異なる3機種、AM専用のICR-S22, AM/FM12バンドのICF-S33、AM/FM/VHFのICF-S55Vが、1986年にに発売されました。この内、ICF-55Vは他のラジオとデザインが異なっていましたが、翌年にデザインを他2機種に近づけた、ICF-54Vとして発売されています。
スピーカーグリルは統一されていますが、デザインは他2機種よりも角ばったデザインで、コインをスタンド替わりに使うための下部のスリット等がありません。電池の位置も違っています。

左から、ICR-S22、ICF-S33、ICF-S54V
対応バンド以外は、3機種は仕様が似ており、サイズや音声出力は同じになっています。電源スイッチは電子式で90分で自動でOFFになります。
実売価格は分かりませんが、希望小売価格ベースて比較すると、このラジオが8,600円に対して、FM/AMのICF-S33は、7,800円とほとんど変わりません。数百円でTV音声付きになるのであれば、こちらを選ぶ人が多かったかもしれません。
ICは3つ見当たります。メインのICはCX20091で汎用性のあるAM/FM用です。それぞれ、2300A、7358と書かれたICですが、詳細不明ですが、2300は自動電源OFF用のタイマーIC、7358はTVのフロントエンド用と思われます。トランジスタは表面実装側に3つ確認できました。

仕様

発売:

1987年 (昭和62年)**

電源:

単4x2 (3V)

トランジスタ等:

3 IC, 3(?) TR

音声出力:

90mW**

バーアンテナ:

45mm

スピーカー:

36mm**

操作部:

電源SW、ボリューム、チューニング、バンド切替SW、イヤホン/スピーカー切替SW

表示等:

同調LED

受信周波数:

AM:: 535 - 1605 kHz
FM:: 76 - 108 MHz, TV 1-3ch
VHF:: TV 4-12ch

ターミナル:

イヤホン(2.5mm)

シリーズ:

ザ・感度。NEWスーパースター

サイズ:

W55mm x H92mm x D56mm

重量:

57g

色:

黒、青

製造:

日本製*

価格:

8,600円**

*本体表記, **商品のしおり

メンテナンス

イヤホンを使うと非常に小さいながらも聞こえましたが、スピーカーはダメでした。低周波部分に問題がありそうでした、電池の液漏れがひどく、広い範囲がダメになっており、電池電極、スピーカー、スピーカーイヤホン切替SW、基板パターンを手当することになり、難儀しました。

裏面にビスが1つと、下面にマイクロねじが2つあります。裏蓋の向かって右側は接着剤のようなものがついていて、少し力を入れて外す必要がありました。指針はギア付きベルトについていますが、基板を付けた後に、バリコンとつまみのギアのかみ合わせで位置調整ができるので、やり易いです。

まずスピーカーをチェックしましたがNGでした。コイル内部の断線だと修理は無理そうです。髪の毛並の細い線が使われていますが、右側は良さそうです。

左側が、液漏れによる腐食で断線していました。

端子が邪魔をしてよく見えないので端子を外そうとしたら、右側の配線も外れてしまいました。

とりあえず、スピーカーについた液漏れあとは掃除しました。あとは、コーン紙から出ているリード線に、PU被覆線をはんだ付けしました。細いのでなかなか大変です。PU線は取扱いやすいので、元の線よりもうんと太いものをつかっています。

反対側を端子にはんだ付けするときに、熱が伝わってはんだが外れないよう、長さに余裕を持たせました。見た目は悪いですが、とりあえずスピーカーは正常に動作するようになりましたが、相変わらず、スピーカーはなりません。

外した基板の実装側です。

パターン側になります。

この機種のマニュアルはありませんが、20091を使った他のラジオのものがありましたので、低周波側の確認をしました。大きな2つのケミコン(220μF)は、SEPP(IC)出力用と電源平滑用でしたが、これらが液漏れ被害を受けているので、外して周辺を掃除しました。

コンデンサーの容量は120μFで、半分ぐらいになってはいますが、動作に大きく支障がある範囲ではないと思われました。ですが、せっかく外したので新しいものに交換しました。手持ちは高さは同じも径が一回り大きいものでしたが、なんとか納まりました。

イヤホン・スピーカー切替のスイッチですが、液漏れの被害を受けていないのですが、接触不良でスピーカー側の導通がありませんでした。

小さい部品ですが、分解できましたので、分解・清掃して、すこしばね部分を強くして組み直しました。

音声出力はICの27ピンから、220μFのコンデンサーを挟んで、スピーカー・イヤホンへとつながっていますが、その配線が腐食でダメになっているようで、直接バイパスしました。電池のプラス極も朽ちて折れてしまいました。プラス極で弾性は不要でしたので、錫メッキ線で補修しました。

ようやくスピーカーから音が出るようになり、組み直しました。

カタログ情報等

商品のしおり

商品のしおり57 (1987), p87
TV(1~12ch)も聴ける3バンド。スピーカー付き、名刺サイズのマルチ情報ラジオ
TV1～12ch:/FM/AMポケッタブルラジオ
ICF-S54V(B)(G)　¥8,600
主な付属品:キャリングケース、イヤーレシーバー、乾電池

TV1~12ch/FM(モノラル)/AMの3バンド
3.6Cmピーカー内蔵
胸ポケットにすっぽり納まる、薄さ15.6mm
パワーONの約90分後に、電源が切れるパワーオートオフ機構
イヤホンを差したままスピーカーで聴ける、イヤホン/スピーカー切替えスイッチ
見やすい大型ダイヤル表示
横からでも上からでも操作できるコーナーチュグつまみ
選局しやすいLEDチューニングインジケーター
FM/TVアンテナ兼用のイヤホンコード
φ2.5mm超ミニイヤホン端子

電源:乾電池(単4型2個)
大きさ:幅55X高さ92X奥行15.6mm(EIAJ)
重さ:75g(乾電池含む)
電池持続時間:UMー4(U)使用時、イヤポン約39時間、スピーカー約17時間(EIAJ/DC)

2023/6/14

No.182