SONY ICF-SW11

Serial No.13804

概要

ソニーICF-SW11は、FM/LW/MM/SWの12バンドのポータブルラジオです。SWが付くワールドバンドシリーズのラインアップでは一番価格の安いエントリーモデルになります。スイッチ類もすべてメカニカルなものです。ハンディポータブルサイズで、普段持ち歩くには少し大きいかもしれませんが、それほど重くなく、旅行鞄にとかならば良さそうです。
ほぼ同じ仕様のICF-SW10という機種があり、その後継と思われます。色が、黒からシルバーに変更され、デザインも若干変更されていますが、機能的にはほぼ同じと思われますが、手元に無いので内部確認はできずです。写真の個体は、大分使い込まれたもので、シルバーの塗装が退部剥げ、樹脂の地の色がでてしまっています。
アナログチューニングですが、短波帯は9バンドあり、放送で使われる部分だけをスプレッドしてあります。各バンドに専用の同調コイルと発振コイルを搭載しています。周波数表示部分も大きく、ダイヤルの減速比も大きいので、比較的チューニングし易いです。どの会社が最初なのか分かりませんが、ソニーの原型はTR-4400と思います。中華メーカーも含めて、似た感じのラジオが各社から発売されました。
同時期に発売されていた、ポケットサイズのマルチバンドラジオICF-SW22も発売されていました。ただ、コンパクトさを除くと、以下の点で機能的にはSW11の方が充実している部分もあります。
- スピーカーは1つですが、イヤホンを使えば、FMがステレオで聴けます。
- 長波が受信できます。日本では放送はありませんが、ユーラシア大陸で使われており（最近閉局が続いているようですが）、
- SWのバンドがこちらの方が広い。SW22は41mバンドと22mバンド省略され、SWは7バンドとなっています。
躯体がまあまあ大きいこともあり、音質もぼちぼちと思います。後側にスタンドがあり、寝かせ聴くこともできます。夜、外にでれば、はロッドアンテナだけでいろいろな局が聴け、感度もます。アナログなので、表示精度の問題もあり局の判別は少しなれが必要です。
この種のラジオとしてほぼ完成されたのか、2017年まで販売されていたようで、18年のロングセラー機種です。価格的にもお手頃で、各サイトのレビューもポジティブなものが多いですが、残念ながら、後継機種は発売されませんでした。
国内モデル、ワールドモデル、中国モデルの3種類があるようです。中国モデルだけは受信周波通が異なり、DC外部入力の端子がありません。国内モデルとワールドモデルは大きな差異はないようです。
ICは2個使われています。黒い塗料で型番が隠されていますが、ソニーのものが使われています。ラジオ部分は、ステレオFM復調に対応したCXA1238と　低周波部分にCXA1522が使われているようです。トランジスタは、基板上の番号はQ6までは確認できましたが、チューニング部を分解しないと、全体が見えないため、詳細は不明です。海外バージョンのサービスマニュアルがウェブ上で入手できますが、こちらの回路図では、Q4,5,6の3石になっています。

仕様

発売:

1999年 (平成11年)

電源:

単3x2 (3V)

トランジスタ等:

2IC, 3TR

音声出力*:

140mW

バーアンテナ:

100 mm

スピーカー*:

57mm, 4Ω

操作部:

電源SW,　チューニング, ボリューム, バンド切替SW

表示等:

同調LED

受信周波数: *1:中国モデル

FM: 76(87.5*1) - 108 MHz
SW1: 3.850(4.750*1) - 4.050(5.060*1) MHz
SW2: 5.900 - 6.200 MHz
SW3: 7.100 - 7.350 MHz
SW4: 9.400 - 9.990 MHz
SW5: 11.600 - 12.100 MHz
SW6: 13.570 - 13.870 MHz
SW7: 15.100 - 15.800 MHz
SW8: 17.480 - 17.900 MHz
SW9: 21.450 - 21.750 MHz
MW: 525 - 1620 kHz
LW: 141 - 290 kHz

ターミナル:

イヤホン、DV 3V (国内モデル、ワールドモデルのみ)

シリーズ:

ワールドバンドレシーバー

サイズ:

W156mm x H90mm x D34mm

重量:

296g

色:

シルバー

製造:

中国製

価格:

7,800円 (税別)

メンテナンス

本体の傷、剥がれ、汚れがまあまあひどいですが、年代物の割に機能的には問題なく、バンド切替・ボリュームとも良好でした。分解清掃のみです。

裏蓋を開けたところです。チッブ部品と表面実装タイプICが2個見えます。ICは黒い塗料で型番が塗られていますが、よく見ると見えます。

前面パネルからシャーシは簡単に外れます。こちらがには、挿入実装するパーツ類が並んでいます。9バンドに対応して、コイルがいっぱい付いています。シャーシと基板を分離するには、チューニングの伝達系を外す必要がありそうです。糸ではなく、ギアについたベルトで指針を動かしています。

前面パネルです。スピーカーは鋼線でしっかり留められています。

埃は掃除しました。バンド切替の表示も、機械的な仕組みでうまくできています。

カタログ情報等

ソニー製品のしおり

ソニー製品のしおり (2000), p79
SW9バンド+FM+MW+LWのトータル12バンドを網羅、使いやすさと、お求めやすい価格を両立したワールドバンドレシーバーの入門モデル
FMステレオ/LW/MW/SW1～9ワールドバンドレシーバー
ICF-SW11　標準価格 7,800円(税別)

国内で短波放送の受信や、海外では日本語放送も楽しめる、トータル12バンドを網羅
NSBバンド表示で、見やすいく、チューニングのしやすいディスプレイ
操作がスムーズでバンド切替が簡単なバンドスプレッド方式を採用
FMステレオ対応
机の上の使用に便利なスタンド付き

2022/10/23/