SONY ICR-N3

Serial No.

概要

ソニーICR-N3は当時のラジオたんぱ（現ラジオNIKKEI）を一発チューニングできる、ポータブルサイズのラジオです。通常の中波放送も聞くことができます。

AM(振幅変調)受信用のICを使用した、ラジオたんぱ、現在のラジオNIKKEIをワンタッチで選局・聴取できるラジオです。ICR-N2というラジオの後継かと思われます。N2はNSB専用でしたが、このラジオは中波放送が聞けるようになっています。本体のサイズやボリュームや電源スイッチなどは似通っています。
ポータブルサイズですが、据え置きでの使用も想定しており、専用コードでAC100Vを直接接続することができます。
十分な資料がなく発売年ははっきりとしませんが、1987年と思われます。少なくとも1987年には発売されていました。
N2はラジオ短波専用となっていましたが、据え置きラジオとしては、やはり中波が聞けないのは不便だったのか、後継として発売された感じです。本体の金型は、N2のものを修正・流用しているように思われます。背面パネル、電池ボックスはほぼ同じようです。前面側のパーツは側面にチューニングつまみ用の穴もあり、デザインも変更されています。
NSBの部分の回路はN2とほぼ同じです。6個の独立したクリスタルによる局発と、3つの周波数帯の同調回路がくみこまれています。高周波部と分割されていた基板は1枚に統一されました。MWの同調のためバリコンやスケールが追加で必要となり、このあたりは大分複雑になっています。
選局SWはいわゆるラジオボタンで、7つから1つを選択するタイプです。このスイッチは動作不良になっていることが多いようです。写真のセットもNGでした。
あまり使われなかったのか、N2にはあった録音端子が削除されました。
短波ラジオですがアンテナはフェライトバーアンテナのみで、ロッドアンテナを使用していません。N2より少しアンテナが長くなっています。SW, 外部アンテナに加えて、MW用の計3つのコイルが付きますので、そのためかもしれません。
ICはCXA1033というワンチップICが使われています。トランジスタは2石使用されており、1石はFETの2SK193で、同調後の周波の高周波増幅増幅に使われています。もひとつ高周波まわりに、2SC2786が1石使用されています。

仕様

発売:

1987?年 (昭和62年)

電源:

単3x4 (6V), AC100V

トランジスタ等:

1 IC, 2 TR (FETx1含む)

音声出力:

バーアンテナ:

100mm

スピーカー:

70mm, 8Ω, 0.8W

操作部:

電源SW、ボリューム、選局スイッチ(6連)

表示等:

バンド表示LED

受信周波数:

MW:: 530-1605 kHz
NSB1:: 3.925, 6.055, 9.595 MHz
NSB2:: 3.945, 6.115, 9.760 MHz

ターミナル:

イヤホン、外部アンテナ端子、100V入力

シリーズ:

ラジオたんぱ

サイズ:

W180 x H105 x D52 mm

重量:

505 g

色:

黒

製造:

日本製

価格:

円

メンテナンス

チャンネル切替スイッチが接触不良で、受信できませんでした。MWは一応受信しますが、感度が非常に悪く、受信周波数も大きくずれていました。チャンネルは、接点復活スプレーで回復しました。

ケース本体に割れががりました。前の持ち主の方が接着剤でくっつけてりましたが、分解せずに修理したためか、割れた破断面ではなく、前面側のケース側に接着されていました。

ICR-N2との違いですが、メイン基板は1つに統一されています。スライドボリュームは、スライド面がすべて見えない内側にあるようです。中波受信に必要なバリコン類が追加されています。左側に異なった番号が振られた6つの水晶が確認できますが、これはICR-N2と同じもののようです。

シャーシはビス2本外せば分離できますが、いろいろ突起や差し込みがあるので、少しコツがいります。向かって左下の部分は差し込まれる部分があるので、ある程度垂直に外す必要があります。チューニングつまみやボリューム、電源スイッチもでっぱりなので、傾けて干渉しないよう外します。

シャーシの前側です。チャンネル表示のLEDや、MWのチューニングスケールがありますす。バーアンテナもシャーシに固定されています。MWの感度がひどく悪かったのは、フェライトバーがこのシャーシのはめ込み部分から脱落してしまい、受信コイルもフェライトから外れかかっていたためでした。他の方のサイトでも同様の症状を説明されていたので、この機種はバーアンテナが外れやすいのかもしれません。

チャンネルSWは、小さい穴の部分から接点復活剤を注入しました。この状態で電池も入れることができますので、動作確認できます。SWについてはこれでOKとなりました。

MWは、チューンイングスケールの大分大き目の値に合わせると、もともとの設定よりも局発の周波数が低くなってしまっているようです。シグナルジェネレータとループアンテナを使い、受信バンドを調整しました。合わせて、バーアンテナのコイル位置もわからなくなっていたので、合わせて調整しました。

外れていたアンテナは最初の位置がよくわかりませんが、とりあえずらしいところに固定しました。

両面とも結構埃がひどいです。ふき取りました。

前面パネルの上部の一部が割れてしまっています。割れたパーツは裏ふた側に接着されています。強度もしっかりでそうで、これはこれで合理的なのかもしれません。

ごしごし掃除していたら、接着されていた部分が外れてしまいましたので、今度は破断した面を接着して修繕ました。

カタログ情報等

製品のしおり

製品のしおり (19xx), p

2023/09/01

No.192