SONY ICR-S10
Serial No. : 098237, 色：白
Serial No. : - , 色：黒
概要
- AM専用のポケットラジオです。明確な資料はありませんが、ICF-S20, ICF-S30と同時期に、ザ感度NEWスーパースターとして発売されたようですので、1982,3年頃の発売と思われます。1982年6月のカタログには掲載されていませんでしたので、それ以降と思われます。ICR-S1の後継機種と思われます。デザインは、少し縦長のものに変更され、躯体の割にはめいっぱい大きいスピーカーが設置されています。AM/FM2バンドのICF-S30とデザインが似ており、カラーバリエーションも同じです。
- 前身と思われるICR-S1は、当初、1チップのICラジオとして発売されましたが、そのICに課題があったのか、途中から普通のトランジスタに変更されています（今、こんなことしたら大問題だと思うのですが）。このICF-S10は、そのリベンジを果たす形で発売されたかもしれません。
- キャッチフレーズは、「ワンチップICで高感度」です。コストダウンを図りながらも、非常に機能的に設計されているように思います。チューニングの凝ったメカはありませんが、つまみをめいっぱい大きくしてチューニングしやすくなっており、裏蓋のねじで、基盤、電池電極なども合わせて固定できるようになっています。
- ICR-S1は、感度を上げるためしっかりとしたバーアンテナがついていますが、その長さが仇になり、結構、折れてたみたいです（ネットオークションとかで良く見かけます）。その対策なのか、ICR-S10は、アンテナの先端をフェルトのクッションで保護しています。実際、感度もいいように思います。音声出力は160mWながらも、聞きやすい音でよく鳴ります。
- 当時のラジオとしては比較的長期間販売されたみたいです。カラーバリエーションの変更はあったみたいですが、1991年頃のカタログにも掲載されていますので10年近く販売されていたみたいです。グッドデザイン賞受賞のマークがカタログにはりますが、主催者の受賞品のページには掲載を確認できませんでした。
- このラジオと中身は同じものがキットとして同時期に販売されていました。ICR-S10(K)、またはICR-K10の名称で販売されていました。前者は色も同じ(白/青)で、本体にもICR-S10としか印字されておらず、キットなのか市販品なのか、外見からは区別がつかなさそうですが、製品には内部にシリアル番号と、バーアンテナをサポートするフェルトがついていないように思います。ICR-K10として販売されていたものは、白/緑の配色で本体にもICR-K10と記載されています。
- ICはCX-845という型番のものが使われています。AMラジオ用のICとしてこの時代、広く使われていますが、このラジオが採用第一号かもしれません。スカイセンサーシリーズで使われていたような、低周波初段だけ行うようなものではなく、ワンチップでそれなりの性能を出せるICのようです。このラジオをキット化した、ICR-K10の説明書にこのICの説明がありますが、スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅、中間周波一段増幅、同調LEDドライブが組み込まれており、9石相当と説明されています。
仕様
- 発売：
- 1982年
- 電源：
- 単3 x 2
- トランジスタ等：
- 1 IC**
- バーアンテナ：
- 約100mm
- 操作部：
- 電源SW付ボリューム、チューニング
- 表示等：
- 同調LED
- 受信周波数：
-
- AM:
- 530 - 1605 kHz
- ターミナル：
- イヤホン
- サイズ：
- W73mm x H115mm x D36mm
- 重量：
- 135g
- 色：
- 黒、赤、白
- 製造：
- 日本製
- 価格：
- 3,600円**
- ニックネーム：
- ザ・感度NEWスーパースター
*本体記載、**商品のしおり
メンテナンス
ラジオは動作しますが、チューニングスケールの針が動きませんでした。
ビスを一本外せば、簡単に分解できます。ICR-S10にはシリアル番号がありますが、兄弟機となるキットのICR-K10, ICR-B10には番号がふられていないようです。
基板パーツ面です。セラミックフィルタ、バリコン、OSC、IFTはミツミ製です。バーアンテナが破損しないよう、大きなフェルトの塊が貼り付けられていますが、やや、浮いた感じになってしまっております。
プラスチックパーツの一部は黄変がひどく、きれいになりませんでした。電池ボックスの蓋は特に別素材のため、一目で違いが判るほどです。
パターン面です。バリコンの大型のものが使われていることもあってか、ダイヤルはしっかりねじ止めされています。
スケールがうまく動かないのはラックギア式のパーツが外れただけかと思いましたら、無理な力がかかったのか、破損しており修理はギブアップしました。また、ジャンク品でも見つけて交換しようかと思います。
メンテナンス2
黒の個体です。ラジオ動作問題ありません。スピーカーに少し塗装の剥げありますが、全般にきれいでした。内部清掃と、スピーカーのレタッチ、スポンジの交換をしました。
スピーカーはSONYブランドですが、韓国製です。中もまあまあきれいです。
スピーカーを外しましたが、べとついた感じの汚れがありブラシで落としました。1か所紙の劣化したのか、小さなあなが空いてしまっていますが、音に大きな影響はなさそうですので、そのままにしました。
清掃後のスピーカーです。
清掃後ですが、もともときれいだったので、あんまり変わりません。
カタログ情報
製品のしおり50(1985) p74
新開発のワンチップIC採用で、小型ながら高感度。性能で、デザインで楽しめる、AM専用ポケッタブル、ニュースーパースター
AM専用ポケッタブルラジオ
ICR-S10 (B)(R)(W) ￥3,600
ザ・感度。NEWスーパースター
- 新開発ワンチップICの採用で、感度・選択度・信頼性を大幅に改造。
- 豊かな音質・音量が楽しめる6.6cmスピーカー 出力160mW
- 最適同調点を光で知らせるLEDチューニングインジケーター
- 電源：乾電池(単3型2個)
- 大きさ：幅119.5x高さ75x奥行26.5mm
- 重さ：240g
- 電池持続時間：SUM-3(NS)使用時、約30時間
- 主な付属品：イヤホン、乾電池
2019/01/14, Update:2022/07/29
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