SONY ICR-S2

Serial No.14447

Serial No.不明(脱落)

概要

ICR-S2は、AM専用のコンパクトなポケットタイプオールトランジスタラジオです。高感度をうたったザ・感度シリーズのラインアップとして、ICR-S1, ICF-S3とともに発売されました。非常に小型のポケットラジオです。大きなバーアンテナ等を積むことはできませんが、高周波増幅を行うことで感度向上を図っているようです。
かなりコンパクトなラジオです。操作部を上部に集めており、デザイン・大きさ的にはTR-3460の後継にあたる感じです。小型化のためなのか、電池ケースの蓋の蝶番が、本体の一部で樹脂製で、あまり耐久性がなさそうです。
色は黒とシルバーの2つがあります。それぞれ、つまみ類の色も違ったものが使われており、割と凝っています。高感度を意味するっぽいSSPをデザインしたロゴと、"FET RF AMP"の文字が前面に配されています。
初期のトランジスタラジオでも、高周波増幅は採用されていましたが、開発後間もない高周波用バイポーラトランジスタを使い、次段への受け渡しに高周波トランスとバリコンの同調回路のある複雑な回路でした。このラジオは前面に表記のとおり、FET（電界効果トランジスタ）を用いた高周波増幅回路を採用していますが、こちらは同調回路はありません。FETは特性上、高周波増幅に向いているようです。
ICRは、ICを使ったラジオに使用されていた型番ですが、このラジオの中身はオールトランジスタです。ICR-S1では使用されたICが、途中から使用が停止された感もありますので、この機種もICの採用が間に合わなかったのかもしれません。
トランジスタはFETを含めて10石使用されています。高周波増幅はFETが1石、その他、混合混合、IFで4石使用されているようです。低周波のドライブアンプは2段、電力増幅はトランスレスのSEPPで2石が使用されてります。あと、チューニングLEDのドライブ用に1石使用されているようです。
部品が密に実装されているため、トランジスタは型番の確認ができないものが多いのです。FET以外の高周波のトランジスタは、日本の型番がついていません。低周波回路には、2SD1020 x3, と2SB810 x1 が使用されています。トランジスタはシリコンタイプが使用されています。プッシュプル回路の温度補償は、サーミスタが使用されていることが多いですが、このラジオは、ダイオードが使用されています。

仕様

発売：

1980年

電源：

単4 x 2 (3V)

トランジスタ等：

9 TR, 1 FET**

音声出力：

75mW**

バーアンテナ：

50mm**, 8Ω, 0.2W

操作部：

電源スイッチ付きボリューム、チューニング

表示等：

チューニングLED

受信周波数：

MW:: 530 - 1605 kHz

ターミナル：

イヤホン

サイズ：

W54mm x H73mm x D20mm

重量：

g(電池別)

シリーズ：

ザ・感度。SUPER STAR

色：

黒、シルバー**

製造：

日本製*

価格：

5,800円**

*本体表記　**商品のしおり41

メンテナンス

電池ボックスの液漏れ以外で電極が接触不良でしたが、その他の動作は問題ありませんでした。スピーカーグリルの塗装が剥げて、錆がでていましたので、ラッカーで塗りました。

ネジ2本（1本は電池ボックス内）を外して裏蓋を外します。電池ボックスは裏蓋側に付いています。前面パネルの側面を押し広げると爪が外せます。側面の爪は片方に2か所ずつあります。上部にも爪がありますので、側面の爪が外れたら、裏蓋を押し下げて外したほうがよさそうです。

裏蓋を外したところです。パターン面が見えます。スピーカーは日本製です。高周波増幅への対応か、バリコンがシールドされています。高周波増幅付きですが、増幅後の同調回路はないため、バリコンは普通の2連バリコンです。

スピーカーはネジやボンドの固定はなく、裏蓋と基板お押し付けでとまっており、基板を外せば前面パネルを分離できます。

チューニングメカです。バリコンの軸とダイヤの軸が90°ずれていますので、やや複雑な構造です。オレンジのダイヤル針は糸を挟みこんでいるだけなので、外れやすいです。取り付け位置は、最低周波数側の時、なるべく左よりに付けます。

動作は問題ありませんが、スピーカーグリルの錆がひどいので、レタッチしました。

念のため、関係しない部分はマスキングテープで覆いました。サンドペーパーで錆を落とした後、塗装しました。

まわまわきれいに塗れました。黒は割ときれいに塗れるような気がします。白はなかなか色目が合わなくて難しいです。

パターン面です。IFコイル回りもシールドされています。

裏蓋は電池ボックスがある基板とくっついているので、丸洗いせずに、綿棒と水、エタノールで清掃しました。

塗装後のスピーカーグリルです。

メンテナンス2

白色のセットです。本体に黄色の汚れが広い範囲でついていました。振るとかたかた音がなりますが、動作は問題ありませんでした。

黄色い付着物ですが、ボンドかなにかのようなもので、水では取れませんでした。エタノールで少しづつ取れましたが、付着物が元の塗装を侵してしまっているようで、付着していた場所の銀色の塗装が剥がれてしまいました。ただ、地の色は灰色なのでそれほど目立ちません。

カタカタなる場所探し、内部掃除のため開放しました。内部に貼ってあるシリアル番号のシートが脱落しており、以前に開放されているようです。

バーアンテナの固定が外れてしまっていたようです。接着剤で留めなおしました。

スピーカーも汚れもそこそこでした。

カタログ情報等

商品のしおり 41

一層スリムになったポケッタブル、小さくて感度のいい　"ザ・感度。"　ニュータイプ
AM専用ポケッタブルラジオ
ICR-S2 ￥5800
（キャリングケース付属）
ザ・感度。SUPER STAR

通勤、通学に手軽に楽しめるAM専用ラジオ
ポケットに入るスリムな小型ボディ
RF段にFETを採用、鋭敏な受信力を発揮する高感度設計
つまみ類をトップに集めた使いやすい上面操作
最適同調点を赤いランプで表示するLEDチューニングインジケーター
電源：乾電池(単4x2) 3V
大きさ：幅54mm x 高さ92.5mm x 奥行20.0mm
重さ：110g（乾電池含む）

2021/12/04, Last Update 2023/07/10

No.106