SONY SRF-DR2V

Serial No. 46807, ロッドアンテナ欠品

概要

ソニーSRF-DR2Vは、ポータブルサイズのFM文字放送受信機能付きのラジオで、AM/FM/VHFが受信できます。ソニーの文字放送機能付きラジオ4モデルの中で、唯一スピーカーを内蔵しています。

サイズ的にはポータブルで、文字多重放送対応の1号機として1995年に発売された文字多重放送対応のSRF-DR1の後継機種と思われます。FM専用から、AM/VHFを加えた3バンドになり、スピーカーも備えるなど、機能が拡充されています。ソニーの文字放送対応ラジオは、すべてFMはイヤホンでステレオ受信できます。
ハンディーポータブルで、画面を見ながら持ち歩くサイズではない感じです。背面にスタンドがついており、傾けておくことができます。机上に置いて画面を見るような使い方を想定しているようです。
時計・周波数を表示する7セグメントLCDと、白黒のドットマトリクスLCDの2つの液晶表示部があります。漢字ROMを内蔵しており、メインの液晶は、文字放送の表示の他、受信している局名等も漢字を使用して表示できますが、節電のためか、常時表示はされてません。
チューニングはPLLシンセサイザー方式の一発選局、時計・アラーム機能が付いています。エリアコールという、都市を選択するだけで周波数がプリセットされる機能があります。また、自分の好きな放送局をセットできるマイメモリー機能もあります。
エリアコール機能があるラジオは、マイコンを使用しているためか、操作方法はほぼ同じです。詳細は、SRF-M902Vのページを参照ください（この機種はマイメモリーボタンがなく、エリアコールのエリアの1部に含まれています）。
マイコン内蔵のデジタル機器です。当時は不揮発の書き換えメモリーが一般的ではなかったので、登録データのバックアップは、大型のコンデンサーで賄っています。ただし、電池に比べると保持時間は短く、20秒程度と記載されています。
多くのIC,LSIが使用されています。基板上のICの番号は14までトランジスタ(Q)は23まで確認できます。ラジオ用のICは、ソニーのCXA1111が、ステレオ低周波増幅には同じくソニーのCXA1522が使用されています。漢字ROMは沖電気製、PLL復調用のLA3335(三洋)や、その他電源レギュレーターが目に入ります。文字放送のデコーダーやマイコンICはLCDの裏側にあると思われます。

仕様

発売:

1996年 (平成8年)

電源:

単3x2 (3V)

トランジスタ等:

14IC(?), 23TR(?)

音声出力*:

80mW

バーアンテナ:

50㎜

スピーカー:

23㎜

操作部:

電源SW、ボリューム、バンド切替SW、FMデータSW、保存SW、メニューSW、送りSW、戻しSW、決定/ポーズSW、ステレオモノラル切替SW、セリア選択SW、アラームSW、入力/時刻合わせSW、ホールドSW、リセットSW

表示等:

ドットマトリクスLCD(64x248ピクセル)、7セグメントLCD

受信周波数*:

FM:: 531 - 1710 MHz (9kHz Step)
FM:: 76 - 108 MHz (0.1MHz Step)
TV:: 1 - 12 Ch

ターミナル:

イヤホン(3.5mmステレオ), DC-IN 3V

シリーズ:

FM DATA RECEIVER

サイズ:

W118 x H72 x D25mm

重量:

132g

色:

シルバー

製造:

日本製

価格:

19,800円(税別)

メンテナンス

通電はしているようでしたが、ホールド状態を解除できず操作できませんでした。スイッチの不良でしたが、接点用スプレーでは復活できず、小さいスイッチで分解ができないため諦めて、このスイッチはジャンピングして常時ONにしました。動作するようにはなりましたが、ホールド機能は使えなくなりました。

ロッドアンテナが欠品ですが、代わりにつけられるものがなく、とりあえずはそのままにしました。うまく付きそうなものがジャンクで見つかれば、付けておきたいと思います。

マニュアルチューニングはできますが、1-7の選局スイッチの接触不調でダイレクトチューニングができません。動作接点用スプレーを吹きましたが、回復しませんでした。スイッチの端子を短絡すると選局できますので、配線やマイコンは問題なく、スイッチ本体の問題のようです。

メンテ後のコンデション

★★★☆☆：受信はするが、プリセットボタンが動作不良。ロッドアンテナが欠品。

裏蓋はスムーズに開きますが、1か所フレキ配線で接続されていますので、痛めないよう注意が必要です。1000μFの大きなコンデンサーがありますが、データバックアップ用のようです。バーアンテナは躯体のサイズの割に小さいです。

ホールドスイッチは接触不良でした。外して分解しようとしましたが、表面実装の非常に小さいスイッチで分解が困難でした。交換部品の調達も難しいそうなので、修理は諦めてジャンピングして常時ONにしました。

前面パネルです。ビスを外せはスムーズに取り出せます。電池をつけたまま分解できますので、整備しやすいです。右に7つ並んだ金属製のスイッチが選局スイッチです。3つ目がかろうじて動くのですが、残りはNGでした。接点用スプレーを試しましたが、関係性はわかりませんが、3つ目も動作しなくなってしまいました。

前面パネルです。スイッチ類を外して清掃しました。スピーカーは極小型のものが使用されています。

背面側にある基板の背面側です。ビス1本はずればするりと抜けます。タクトスイッチは前面とは別のタイプが使用されています。

ロッドアンテナが欠品です。新品の購入は無理そうです。同一時代の機種で共通の可能性もありますので、ジャンク品を気長に探していきたいと思います。

沖電気のマスクROMです。漢字データが入っているようです。

HOLDスイッチは銅線でつないで常時ONになっています。

メンテナンス(続き)

パーツ屋さんのサイトを眺めていましたら、代品がなさそうで諦めていたスイッチ類によく似たものが、売られていました。ダメ元で買ってみましたら、スライドスイッチもボタンスイッチも同サイズでばっちりでした。業界のディファクトなのか、オリジナルのメーカーが製造を続けているのか不明ですが、入手できましたので取り替えて、ほぼ正常な状態に修理できました。

メンテ後のコンデション

★★★☆☆：プリセットボタンが1個動作不良。ロッドアンテナが欠品のまま。

スライドスイッチは、1回路2接点のものですが、千石電商で買いました(SSW1P2T-SMT 小型スライドスイッチ 1回路2接点)。ボタンスイッチも千石電商で、こちらはALPS社製ですので、標準品化しているのかもしれません(SKQGAFE010 表面実装タクトスイッチ)。

スライドスイッチは、多少外観ことなりますが、端子間隔、固定用の出っ張りも同一でした。

タクトスイッチのボタンを剥がしたところです。内部は腐食しており、スライドスイッチも同じ右側にあったことから、右側の部分から水が浸入したのではと思われます。

外観も端子間隔も同じです。

他のボタンもすべて内部が腐食していました。

7つとも付け変えました。が、5つ目だけは動作しませんでした。スイッチに異常はなくこのチャンネルだけ先の部分のどこかで断線しているようです。見える範囲は確認しましたが異常はなく、液晶パネルの裏にあたるため、このボタンは諦めました。

外したスイッチです。

カタログ情報等

製品のしおり

3バンド対応、スピーカー内蔵のFM文字多重放送対応ラジオ
FM文字放送対応TV(1~12ch)/FMステレオ/AM　PLLシンセサイザーラジオ
SRF-DR2V　　標準価格22,000円(税別)
付属　ステレオイヤーレシーパー乾電池

音声に加え、文字か表示される「FM文字放送」対応
TV放送の音声、AM放送も聴ける
50ペーシまでの文字情報をたくわえられる「情報メモリー機能」
5秒たつと次画面へ進む「自動ページ送り機能」
FM文字放送受信中での緊急情報受信

電池持続時間:イヤホン約40時間(アルカリ乾電池使用時)
質量:215g(乾電池含む)
大きさ:幅118X高さ72X奥行23.7mm

製品のしおり86 (1997), p87

FM文字放送に係る機能の説明がメインです。当時販売されていた機種とも、大きくは変わらないようです。

2024/02/12, Last Update 2024/05/20

No.205